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コロナがあけても客は戻らない? 飲食店が利益度外視で始めた新サービス

日刊SPA! / 2021年3月16日 15時54分

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※写真はイメージです

 首都圏の緊急事態宣言が延長され、飲食店などに対する営業時間の「時短要請」が引き続き行われることになった。関係者からは落胆の声があがっている。もっとも、時短要請に従えば、1日あたり6万円の協力金が支払われるので、以前のような「悲鳴」が聞こえてくることは少なくなった。

 だが、すでにライフスタイルそのものが変化してしまったことで、緊急事態宣言があけても“飲食店には客が戻ってこないのではないか”という懸念がふくらんでいるのだ。そんな中、時短営業中に客を維持するために新たな試みを始める店も増えてきている。

◆スナックが“オンラインアフター”を開始

 東京都内のスナック店経営・鶴岡紀子さん(仮名・40代)は、なんとか客をつなぎ止めようと思案した。

「いまはお客さんが来られても夜8時過ぎには店を閉めなきゃダメ。一番お酒が出る時間帯の営業ができません。協力金もあるので生活はできますが、お客さんが離れてしまっている実感はある。だから、8時以降も飲んでもらえるようにと“オンラインアフター”をやっています」(鶴岡さん、以下同)

「アフター」とは、スナックやキャバクラ店などで飲んだ客が、店の従業員とともに別の店で飲み直す、いわば二次会のようなもの。「同伴」とは、出勤前の従業員と客が別の飲食店などで食事をし、そのまま連れ立って出勤することである。

 コロナ禍においてはその両方がほぼゼロになるほど激減した。しかし「オンライン」であれば、簡単に実施できるという。

「せっかく盛り上がってもそこで閉店ということで残念な思いをしているのはお客さんだけではありません。飲みにきてもらったら、いったん8時でお開きにして、お店で作ったお料理やおつまみを買ってもらい帰宅してもらう。帰宅後に、店とお客さんの自宅をビデオチャットアプリでつないで、お話を楽しみながら好きなお酒を飲んでもらうんです」

◆儲けをとることよりも…

 オンラインであれば「時短要請」に囚われず、何時まででも客対応ができる。ただしその間、客は自前で用意した酒を飲むため、店の儲けにはならない。それでもやる意義があると鶴岡さんは言う。

「儲けをとることよりも、“今後もスナックを利用し続けてもらう”という意味で、私たちのためにもなると思ってやっています。また、オンラインアフター用のお料理作りにハマってしまって。今後はお酒だけでなく、おつまみのバリエーションでお店のアピールができるようにもなったと感じます」

「酒類のテイクアウト」については、コロナ対策の一環として、飲食店などには期限付きの販売免許が付与されるなどしている。しかし、スーパーやコンビニで購入するよりも割高になる酒類のテイクアウトが、客の間に浸透しているとは言い難い状況である。

 だからこそ「料理」で勝負したい、と似たような試みにチャレンジしている店が増えつつある。

◆“シメのラーメン”を持ち帰り用に

「ラーメン店だったのが途中から居酒屋になって、今はラーメン居酒屋としてやっています。ただ、コロナ以降は飲む客も減ったし、時短営業の影響もあって、ラーメンまでゆっくり食べて帰る、というお客さんがほとんどいなくなったんです。それなら、と思って、シメのラーメンを“お土産”に持って帰ることができるようにしたんです」

 こう話すのは、千葉県内の飲食店店長・青木文男さん(仮名・50代)だ。

 仕事帰りに居酒屋で飲み、最後にラーメンを食べて帰路につく、というのが飲兵衛サラリーマンのパターン。だが、時短営業中ともなると、客が慌てて店にやってきては酒を駆けつけ3~4杯飲み、つまみに箸を伸ばしているうちに、あっという間に閉店時間である。

 客は飲み足りない食い足りない状態だが、当然、店の利益も落ちる。せめてラーメンだけでもゆっくり食べて欲しい、そんな思いで始めたサービスだったが好評を得たという。

◆希望の光が見えた

「容器代などがかかりお店で食べるよりも若干割高ですが、麺が伸びないよう工夫をしたりして。今ではほとんどのお客さんが飲み終わった後に“ラーメンのお土産”を注文されます。

 嬉しかったのは、ラーメン以外にも持ち帰りたいというお声もいただき、今ではお酒以外のメニューは全てテイクアウト可能にしています。店で一次会、自宅に帰ってからは、うちの料理を食べながらお客さん同士でオンライン二次会、という感じで。常連さんのビデオチャットに混ぜてもらい、私も楽しく飲んでいます」(青木さん)

 売り上げ自体は微増ではあるものの、客との繋がりをなんとか維持できる手段を見つけたと喜ぶ青木さん。

 コロナ後の生活様式の変化が、どれほど私たちの生活に影響を及ぼすか判然とせず、不安に陥る人も少なくはない。だが、できることから始め、試行錯誤の末に“希望の光”を見出す人々も出始めてきた。こうした前向きな取り組みこそが、その「光源」なのかもしれない。<取材・文/森原ドンタコス>

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