999円の航空券も発売。“攻めの価格”を変えないLCCの戦略とは

日刊SPA! / 2021年4月8日 15時51分

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◆日本初LCCのいま

 日本で初めてLCCが飛んだのは2012年3月1日のことだ。関西空港を拠点とするPeach Aviation(以下ピーチ)は2路線を就航させた。これが日本にLCCが誕生した瞬間であり、Peach Aviationは日本初のLCCなのだ。9周年を迎えた今年、国内線32、国際線17路線を35機のエアバスA320シリーズで結び、3700万人を超える旅客を輸送するエアラインとなった。

 関西空港から始まったネットワークは新千歳、福岡、那覇、仙台に加え、2019年に統合したバニラエアの拠点だった成田空港も加わった。今では関西空港で12路線、成田空港で12路線を持ち東西2大都市に拠点が出来上がった。特筆すべきは、コロナ禍の中でもPeach Aviationは2020年度に中部国際空港路線を新規開設する形で合計10路線を就航開始したことだろう。

◆お得がつまった空の旅を提供

 LCCの言葉の意味は格安航空会社ではあるがピーチの強みは格安な航空運賃に加えて、旅の行程でお得になる様々なパーツを提供している点にある。具体的な事例を航空券のセール情報から見ていこう。3月1日の9周年の記念セールで999円の航空券を期間限定、席数限定で発売していた。

 半月後の3月18日から21日までの期間限定で4月から10月末まで搭乗できる運賃を1990円からで発売した。搭乗期間が長いので、例えば成田⇒新千歳へ夏休み期間中に予約したとしても3290円からとお得に利用できる。Peach Aviationは半月に一回程度の頻度で、年間で20~30回ものセールを行っている。今までの販売実績を見ると、1000円を切る運賃は少ないがこの先も2000円前後からの運賃は月2回程度のペースで発売される予定だ。

 セールの途中でも随時運賃がお得になる情報は更新される。現在、4月10日までの期間限定でバリューピーチ運賃の10%引きと北海道、東北、北陸の発着路線限定で1000円Offクーポンが用意されている。運賃以外で旅のパーツの中では、PEACH ROOMSと言われる世界50万軒以上のホテル予約やPEACH CARSと呼ぶレンタカーを安く手配できるのは当たり前。

 JRのフリーパスが更に安く買え、空港への送迎や公共交通機関の割引、スーツケースのレンタルなど旅を楽しく快適にするキーワードが目白押しだが、中でも最近話題になっているのはPCR検査が付いた航空券だ。

◆飛行機に乗れば無料でPCR検査を

 最新の動きで気になるのは、無償のPCR検査を提供している点だ。現時点では、ゴールデンウイーク明けまでの期間、ピーチの成田、関西の両国際空港発国内線で3種類の運賃のうち上位2つの運賃となるバリュー、プライムを購入した希望者にその権利が付与される。コロナ禍の中でも移動しなくてはならない人はいる。

 このサービスは親会社のANAでも9900円(税込)という値段での提供されている。JALにしても検査の定価との差はJALが払うが利用者には2000円(税込)の負担がかかる。検体返送時の送料を除いて無償なのは日本ではピーチだけの初めての取組みだ。

 同社広報・サスティナビリティ推進室の檜秀憲(ひのき ひでのり)氏に取材することができた。檜氏は、関西空港の住所となる泉佐野市から人事交流で派遣された職員だ。ピーチに出向して2年が経つ。最近の取り組みを聞いてみた。檜氏によれば

「今お知らせしたいのは機内デジタルサービスです。インフライトエンターテインメントの代わりとなるもので、搭乗者自身のデバイスを用いて機内にてデジタルサービスにアクセス頂けます」

 フライトマップの表示や、ドラマやアニメの視聴、機内食やグッズの注文に、目的地で使うチケット購入などができるというものだ。機内に置くサーバー機器を日本製にし、コンテンツの提供を地元大阪のTV局に依頼するなど本格的だ。

「機内食がフードロスになったことが発案のきっかけで、シンプルに機内食の販売を一部空港売店の『peach SHOP』に変えました。利用者の方が食べたいものを購入頂いて機内でお召し上がり頂くことができます」

 環境へ配慮したフードロス問題への取り組みにも力を入れているという。

◆国内第3のエアラインに成長

 現在、ピーチはANAの連結決算に組み込まれ、業績は目立たない。個別に搭乗実績を見れば、エアラインの実績を表す有償旅客キロ(RPK)は国内第3のエアラインと言われるスカイマークを超えた。コロナ禍前の2019年実績ではあるが、スカイマークが790万RPKに対し、ピーチは920万RPKの数字を出しており、ANA・JALに次ぐ国内第3位のエアラインで日本一のLCCであることに間違いはない。この先も何か新しい発見をもたらしてくれる楽しみのあるエアラインだ。<文/北島幸司>

【北島幸司】
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「あびあんうぃんぐ」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。
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