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ミリオンゴッド凱旋撤去拒否&沖ドキ再設置…自主撤去に異を唱えたパチンコ店の言い分

日刊SPA! / 2021年4月13日 8時29分

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ミリオンゴッド凱旋が今なお設置され、打てるホール。客付きは良好だったが……

◆今だミリオンゴッド凱旋が打てる店には連日客が……

 昨年11月で全国のホールから撤去されたはずの、人気パチスロ機『ミリオンゴッド-神々の凱旋-』。しかし都下のあるホールでは、今でも絶賛稼働中だ。遊技していた人からは「まだ凱旋が打てると聞いて、電車で1時間かけて打ちに来ました」という声も聞かれるが、このホールには凱旋が残っているというのはちょっと詳しいファンなら常識であり、「どうせ設定には期待できないですけど、設定1でも万枚出ちゃうのが凱旋ですから。夢を見られるから、仮に負けたとしても新しい6号機を打つよりも納得できますよ」という声も聞かれる。

 業界にとっては、社会的批判を集めた高射幸性遊技機の撤去は早急に対応しなければならない課題として数年来取り組んできたものである。20年近く前になるが、4号機とよばれたパチスロが現役だった頃には100万円以上勝てるという機種も存在。その行き過ぎた射幸性が問題になり、複数機種が検定取り消し処分となり、そして射幸性の抑制を目的にした規則改正によって5号機時代が到来した。しかし規則の解釈や試験対策が進み、ファンやホールから魅力的(=たくさん玉が出る)なパチスロが求められた結果、5号機の射幸性も急速に上昇。4号機時代のような5万枚(等価交換で約100万円)には及ばないものの、約2万枚(約40万円)を超える差玉を吐き出す機種も登場するようになった。

 出すぎた杭は打たれなくても、玉が出すぎる遊技機は行政から規制されるのがこの業界の常。結果的に射幸性が抑えられたはずの5号機も、2014年の試験方法変更に始まり、その後のメーカー団体による自粛規制などで射幸性が抑えられることになるが、最終的には2018年の規則改正という伝家の宝刀によって6号機時代へと突入する。それでも5号機は経過措置として3年間の設置が認められていたが、2万枚出るような機種は「高射幸性遊技機」として設置期限を待たずに順次撤去するという方針をホール団体では先に決議しており、これまではほぼ全てのホールがスケジュールに沿って粛々と撤去していた。

◆コロナによって5号機の設置期限は延長されたが……

 しかし昨年のコロナ禍により、2018年2月1日の新規則施行から3年としていた5号機の設置期限が新機種不足や入れ替え作業の軽減を目的に1年延長されることになった。ただし業界団体としては高射幸性遊技機は他の(つまり射幸性が低い)5号機とは扱いが異なり、最優先に撤去するべき存在として、自主的に延長しない方針を決定。その結果が昨年の11月の凱旋撤去であり、他の高射幸性遊技機も同様である。

 しかし凱旋は他のマニアックな存在が多い高射幸性遊技機とは異なり、幅広いファンから人気のあるホールにとっての稼ぎ頭といえる主力機種だった。それでもほとんどのホールは泣く泣く撤去し、凱旋撤去をきっかけに廃業を決断したホールもあるほどだ。そうした状況であるにもかかわらず、撤去を拒み稼働を続けているホールがあるのは、近隣のライバル店はもちろん、業界全体にとっても頭の痛い話なのである。

◆ミリオンゴッド凱旋&沖ドキの設置は違法ではない

 ただし注意しなければならないのは、現在も凱旋を設置しているのは違法ではないという点。経過措置が1年延長されたことで認定期間(※3年の検定期間を過ぎた後でも最長3年間、営業に使用するためにホールが申請する手続き)はまだ終了しておらず、業界の自主規制を逸脱しているという道義的な話はあっても法的には全く問題がないのだ。もちろん行政側はこうした事態を好ましいと思っているはずはなく、業界全体で決議したはずの自主規制を守れないものとして考えているだろう。そもそも業界団体側の自主規制には行政側の意向が強く働くものだけに、結果的にはより強い規制が行われる可能性も否定できない。だからこそほとんどのホールは不満があっても、足並みを揃えて撤去してきたのだ。

 自主規制に従わないホールには業界としてのペナルティも検討され、実際に新機種が買えないなどの動きも見られる。ただしメーカーが強制的に新機種を売らないといった措置には法的問題もあり、実効性があるペナルティとはなっていないのが現実。ホール団体側も凱旋の設置が法的に問題がない以上、下手に訴訟を起こしたら返り討ちにあってしまうというジレンマもあるようで、今なお「仮に低設定ばかりでも、やっぱり打っちゃいますよね」(パチスロファン)として稼ぎ頭で活躍し続けている。

◆緊急事態宣言時の対応に問題がある!?

「そもそも、この問題は昨年春の緊急事態宣言時の対応にあるようです」と、この問題を分析するのは都内某ホールの店長。「緊急事態宣言でも営業を続けていたホールがいくつかありましたよね。そこに対して、業界団体がなんら実効性のあるペナルティを与えなかったのを見て、それならやったもの勝ちだろっていうことになったそうです」。

 緊急事態宣言下で営業していたホールはワイドショーでも大きく取り上げられ、業界全体へのバッシングにつながったことは記憶に新しい。それ以降、業界団体としてはイメージの回復に取り組んでいるが、槍玉に挙げられたホール、つまり他のホールが休業中で多くの客を集めたホールへのペナルティは特に行われていない。これを見て、それならと考えるのは自然の流れでもあり、仮に批判を集めたとしても凱旋を設置しての営業はそれだけ大きなアドバンテージにもなるのは間違いない。

 凱旋を設置しての営業が業界内では問題になっても、一部ファンからの支持を集めてしまったことは、全国的にも波及している。それが中部地方や北関東地方のホールで散見される、『沖ドキ!』の設置だ。沖ドキ!は本来なら今年の正月開けのタイミングで撤去される予定だったが、やはり設置期限の延長(※一部地域では認定のタイミングで延長不可)によって設置していても問題がない状況になっている。そしてこれ幸いと、いったん撤去しておきながら再設置するホールまで現れている。

◆ホール団体理事長が自主撤去に異議を唱えた

 改めてだが、凱旋や沖ドキ!を設置し続けることに法的問題はない。しかしホールとして加盟している業界団体が決議したことを遵守しない点において、道義的にはどうなのか。何かと問題視されがちな業界であり、世間から批判を集めた問題を解決するための自主規制がそもそもの発端であるという点は、業界関係者なら誰もが理解しているのではないだろうか。

 この2月には沖ドキ!設置店が多い北関東のホール団体理事長が、ホール団体の全国組織へ意見書を送付した。この文章は業界紙・誌にも送られており内容をかいつまんで紹介しておこう。

・高射幸性遊技機の撤去といった方針を決めている業界団体はあくまで親睦団体であり、決議に至るプロセスも不透明
・5号機の設置期限延長はホールへの救済策であり、撤去を強いるなら遊技機価格の引き下げなど法的に存在しているホール団体としてのアクションが必要

 ホールの立場として理解できる意見ではあり、指摘されている業界団体が法人格のない任意団体であるのも事実。法人格のあるホール団体がその下に位置しているような状況も健全かどうかは疑問が残るところだが、社会的な視線、つまり監督官庁である行政が最も意識している世論についての記述が一切ないのは個人的に気になるところだ。

◆パチンコのCR機を巡っても同じことが起こる!?

 ファン人口が右肩下がりを続け業界が危機的な状況にあるからこそ業界団体では世間に対してパチンコ・パチスロは安全で安心な娯楽であるというアピールを続けており、そのために高射幸性遊技の撤去は健全化に対し欠かせないという姿勢で望んでいる。射幸性の高さが機種の魅力に直結するのは疑いのないところであり、凱旋などの高射幸性遊技機はファンとホールが望んだ結果の産物であろう。この取り扱いがとてもスムーズにいくとはほとんどの業界関係者は予想していなかっただろうが、それでもほぼ全てのホールが自主規制に従って行動した。そして残されたのが、半ば異物としての存在。

 今年の11月末にはパチンコのCR機、パチスロの5号機が全面的に撤去される予定。しかしこれはあくまで業界団体としての方針であり、法的には来年1月末まで設置できる機種もある。その時には2ヶ月間、異物が少なからずのホールで見られることになるのだろうか。

<取材・文/キム・ラモーン>

【キム・ラモーン】
25年のキャリアを持つパチンコ攻略ライター。攻略誌だけでなく、業界紙や新聞など幅広い分野で活躍する。

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