1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. 野球

最年少賞金女王・大山千広「ボートレースは男女対等に戦える競技」

日刊SPA! / 2021年5月4日 15時52分

写真

ボートレーサーの大山千広さん(写真提供:BOAT RACE振興会、以下同)

 近年、スポーツ界での女性アスリートの活躍が目覚ましい。国際大会では並み居る強豪国の選手に負けず劣らず、表彰台を勝ち取ったり好成績を収めたりと、競技を問わず女性アスリートの存在に注目が集まっている。それは、競馬や競輪、ボートレースといった公営競技においても同様だ。

 競馬界では、藤田菜七子さんが女性騎手の年間最多勝記録を更新し、“菜七子フィーバー”と称された。また、ガールズケイリンでは児玉碧衣さんが女性競輪選手のトップを決めるガールズグランプリで3連覇を達成し、通算獲得賞金が1億円超えするなどその躍進ぶりが関心の的となっている。

 そんな中、ボートレース界のニューヒロインとして期待を寄せられているのが大山千広さんだ。

 2015年にデビュー後、わずか4年で賞金女王の座を掴み、若干23歳で獲得賞金5600万円を手にした。また、ボートレーサーとしての実力もさることながら、アイドル顔負けのルックスを兼ね備えており、“可愛すぎるボートレーサー”としてメディアへの露出も増えている。今回はボートレーサーになったきっかけや今後の目標について大山さんへ話を伺った。

◆幼い頃からボートレーサーの母親に憧れていた

 まず、ボートレーサーになったきっかけについて伺ったところ、「幼い頃から母親の背中を見て育ったのが大きい」と大山さんは答える。

「私が小さい時から、母親が現役のボートレーサーとして活躍していたんです。プロのアスリートとしてレースに挑む母親の姿に憧れ、ボートレーサーを目指すようになりました。学校へ通っていた際も、周囲の同級生から見ると異質の母親だったこともあり、ちょっとした自慢だったんですよ(笑)」

 ボートレースを生業とする母親に惹かれ、自然と将来はボートレーサーを志すようになった大山さん。

 高校卒業後は、進学や就職という選択肢を選ばずにボートレース界の道へ進むことを決意。地元福岡にあるボートレーサー養成所へ入所することとなる。

「学生時代のアルバイト経験もほとんどなくて、初めての仕事がボートレーサーだったんです。特に迷いもなく、この道に進もうと考えていました。デビュー当時は“職業”という感じよりも“スポーツ”感覚でボートレースを行っていましたね。ただ、今も昔も変わらないのは『ボートに乗って水上を走るのが大好き』だということ。この気持ちがあるからこそ、楽しく向上心を持ってボートレースに打ち込めていると思います」

◆男女関係なく同じ土俵で戦えるのがボートレースの魅力

 ボートレースは女性よりも男性人口の方が多い競技である一方、他の競技とは違って男女混合戦も多く開催されるのが特徴だ。

 だが、過酷なレース環境やボートの操縦など、体力や筋力の差で男性優位な状況が生まれやすい競技ゆえ、不安に思ったことはなかったのだろうか。

「ボートレーサー全体で言えば、女性レーサーが占める割合は1割程度です。養成所に入所した時の同期も男性が30人に対し、女性は6人でした。でも、ボートレース最大の特徴としては、あまり男女差関係なく対等にレースができる数少ない競技なんですよ。

 確かに体格の違いは拭えないかもしれませんが、その分スキルやテクニックでカバーし、男性に勝つことも可能なんです。私はあまり負けず嫌いではありませんが、男女関係なく同じ土俵でレースできるのはやる気を掻き立てられますし、自分自身に打ち勝つことを意識して、レースに臨んでいます。女性だからと、あまり気負ったことはなかったですね」

◆他人と同じでは通用しない。下積み時代は誰よりも努力を積んできた

 とはいえ、ボートレーサー養成所時代は慣れない生活の中で必死に食らいつき、ボートレーサーに必要な技術やメンタルなどを磨いていったそう。

「新人の頃は先輩の足手まといにならないように意識して行動していました。先輩が出るレースのお手伝いをしたり、実戦での礼儀や慣習を学んだり……。こうした下積みを経験しながらも、心の底では『早く一人前のボートレーサーになりたい』と思っていて、周囲と同じことをしていても通用しないと考えていたんです。雑用や先輩のお手伝いをこなしつつ、練習する時間を作ることはもちろん、ボートに乗ること以外に必要な知識や心構えを身につけなければならない。とにかくやれることは全部やって、自己研鑽に励みましたね」

 さらに、「ボートレースを始めた頃から、常に緊張感や怖さを忘れないように心がけている」と大山さんは語る。

「“水上の格闘技”と言われるくらい、ボートレースは一歩間違えると大事故に繋がってしまう。どんなに大きな舞台に立とうとも『初心忘るべからず』。無事故第一を念頭に置きながらボートに乗っています。でもそれだと、いざという時に恐怖心から勝負をかけられなくなるので、人一倍練習して怖さがなくなるように自信をつけてきたんです」

◆頭角を現す存在になっても、“女性アスリート”と呼ばれるのは抵抗感があった

 そんな大山さんのひたむきな姿勢やボートレースにかける情熱が実を結び、2017年ボートレース福岡「G3オールレディース」で初優勝を飾る。

 以後は2018年に最優秀新人選手、そして2019年にはボートレース蒲郡「プレミアムG1第33回レディースチャンピオン」にて同競走で史上最年少優勝を果たした。

 瞬く間に“ボートレース界の新生”として脚光を浴びるようになったのだ。

 女性アスリートの階段を着実に駆け上がってきている大山さん。だが、本人曰く「正直あまり“アスリート”としての自覚は持っていなかった」という。

「水泳の池江璃花子さんのような、何事にも負けない強い女性アスリート像の印象を抱いているので、私が女性アスリートと呼ばれるのはちょっと恥ずかしいというか、不思議な感覚でしたね(笑)。応援してくれるファンや周囲の人からそう言われるようになったことで、『私みたいな女性ボートレーサーでもアスリートとして見てもらえるんだ』と思うようになったんです。私がボートレースに打ち込む姿を見て、ボートレースに興味を持ってもらったり勇気を与えるきっかけになれたら嬉しいですね」

◆芸能活動はやらない。ボートレースにとことん打ち込みたい

 他方、ボートレーサーとして活躍する姿のほか、「アイドル並みのルックス」が大山さんの人気を呼んでいる大きな理由と言えるだろう。

 先日は人気ファッションモデル・タレントの藤田ニコルさんと、ファッション雑誌『ViVi』(講談社)の企画でリモート女子会を行うなど、芸能関連の仕事も増えそうな予感だ。

 しかし、大山さんは芸能活動については興味がなく、今後も競技に打ち込む姿勢を貫くそうだ。

「昔から自分を人に晒すのが苦手というか、恥ずかしく思ってしまうんですね。なのでSNSもやってないですし、ボートレース以外の仕事は一切考えてません。むしろ、今の結果よりも、周囲の期待感が上回ってしまっているような気がしていて、このような状況は長くは続かない。そう考えているので、もっと自分を磨いてさらに高みを目指さないといけない状況だと感じています」

◆悲願の女性初SG制覇を目指す

 これからますます活躍が期待される大山さん。最後に今後の展望について話を伺った。

「今掲げている最も大きな目標は、ボートレースの最高峰クラスに位置するSG(スペシャルグレード)で男性に勝ち、優勝することです。実は約70年続くボートレースの歴史の中で、女性ボートレーサーは誰も優勝していないんですよ。悲願の女性初SG制覇を目指して、今後も頑張っていきたいですね。

 また、ボートレースってどうしてもギャンブルという側面を持っていますが、最近ではスポーツを見る感覚で見に来るお客様も増えてきている。もっとたくさんの人にボートレースに興味を持ってもらい、実際にボートレース場へ足を運んでもらえたらと思っています」

<取材・文/古田島大介>

【古田島大介】
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング