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男性更年期障害の“意外なサイン”。趣味に成果を求める人はキケン

日刊SPA! / 2021年7月2日 15時53分

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◆大物芸能人も苦しむ「男性更年期障害」

タレントのヒロミ氏や俳優の清水宏次朗氏も苦しんだといわれる「男性更年期障害」。以前とは違い、本調子を出せないと感じている諸兄も、他人事ではない可能性がある。2001年に、全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を開設した医学博士であり内科・循環器・性機能専門医である石蔵文信氏に話を聞いた(以下、「」内のコメントはすべて石蔵医師)。

 石蔵医師が運営する男性更年期外来での初診時の平均年齢は51.8歳で、受診年齢層が27歳~83歳。ということは、30代~40代の働き盛りの男性も含まれている。まずは石蔵氏が提唱する、男性更年期障害の典型的な症状をセルフチェックしていただきたい。

1.眠りにくく途中で目が覚める。朝早く目覚める。不眠を酒でごまかしている
2.食事がおいしいと感じられなくなり胃がいつも重く、下痢や便秘を繰り返す
3.最近イライラすることが増えて、対人関係でのトラブルが増えた
4.将来を悲観的に考えてしまうなど、なにか不安で落ち着かない
5.以前より根気がない、集中力が途切れやすくなったと感じている。精神状態が落ち込んでいて、やる気が出ないことが増えた
6.頭痛、耳鳴り、めまい・ふらつき、肩こりや腰痛、動悸や胸痛、咳などに悩まされていて、病院に行っても原因が解明できずにいる
7.慢性的に体のだるさや疲労感を感じている
8.突然、異常に汗をかく。口が異常に渇く
9.精力の衰えを感じ、ED気味である

「これらの症状が重篤な病気のサインである可能性も否めませんが」と前置きし、石蔵医師が話を続ける。「私の病院に来院される患者さんは、訴える症状がひとつだけという人はいません。多くの場合、5種類以上の症状を抱えています」

◆自覚症状が明確なのに検査で見つからない

 さらに男性更年期障害には、厄介な症状がつきまとう。

「男性更年期障害は、本人にはこれらの明確な自覚症状があるものの、病院で検査を受けても原因となる病気が見つからない『不定愁訴』であることが特徴です。EDを除けば、女性の更年期障害と症状はほぼ共通しています。医療機関で血液や脳、心臓、胃腸などの検査をしたけれど『病変がない』と診断され、納得のいく診療や治療を受けられず、病院を何カ所も受診する『ドクター・ショッピング』をする人も少なくありません。重症化する前に、最も大きな2つのサインを見逃さないでいただきたいです」

 具体的な2つのサインとは?

「1.睡眠と、2.食事です。

1.は「睡眠障害」と呼ばれる症状です。症状によって、寝つくのに30分以上かかる『入眠障害』、深夜や早朝に目が覚めて眠れない『中途覚醒』、『早朝覚醒』、熟睡ができずに朝まで半ば起きているような状態の『熟睡障害』に分類されます。患者さんはこのいずれか、あるいは複数の症状を訴えます。睡眠の質が落ち、トータルの睡眠時間が不足しているため、ほかのさまざま症状も引き起こしてしまっていることもあります。

 食事がおいしく感じられなくなったというのも、男性更年期障害の兆候である重要なサインです。患者さんが訴える代表的な例が『食事をしても砂を噛んでいるような感覚しか得られない』『今まで好物だったものがおいしく思えなくなった』などです。食事がおいしくないと必然的に食事量が減り、体重も減少します。食事は命の源。必要量を摂取しないと、ほかの諸症状を誘発する原因になってしまいます。どちらも加齢のせいにして放置しがちなので、40代になったら体の声に注意深く耳を傾けましょう」

◆趣味に“成果を求める”人は危険?

 ほかにも男性更年期障害になりやすい、意外な落とし穴があるという。

■趣味を「楽しむ」のではなく「結果を残す」意識へとシフトしがち
「私の診療を受ける患者さんたちは、往々にして自分を追い込むタイプです。マラソンをしている人は、自分が満足できるタイムを出せるまで頑張る。ゴルフでは、スコアが100を切っても満足できず、シングルプレイヤーになるまで毎日練習する人も珍しくありません。釣りの中でも難易度が高いといわれている、渓流釣りをあえて極めようとする人もいます。年々進む老化は避けられませんが、若い頃と同じような結果を残そうとすると、心身のバランスが崩れて更年期障害になってしまうケースが考えられます」

■仕事人間で「勝ち組」である
「勝ち組の人は、基本的に野心を持つチャレンジャー。今の事業で十分成功を収めているのに、別の事業にも進出して規模を広げようという人をたくさん見てきました。彼らは仕事にまい進し続け成果を残してきたので、50歳ぐらいになって気力・体力ともに衰えを自覚するとオロオロして打開策を見つけられない。そして誰にも相談できないまま、更年期障害が重度化していくのです。これは経営者に限りません。出世欲の強い会社員も含まれます」

■サラリーマンは昇進時がリスク大
「昇進すると部下が増えるので、新しい環境に身を投じてなじめず、気を使いすぎて心身のバランスを崩してしまう例は多く見受けられます。そして、更年期障害になってしまうのです。

 患者さんの中には思いどおりに仕事ができない自分を責めて、辞表を提出してしまう方もいます。追い詰められた状態なので、退職後の資金繰りはノープランという人も多い。企業により休職できる期間は異なりますが、私は『しばらく休職してみませんか。体調を整えて復職しましょう。最長1年半位は大丈夫です』とアドバイスしています。更年期障害の症状がひどいときほど会社を辞めたくなる傾向があるので、離職しないよう説得するのが大変です」

◆主因は精神的なストレス

 離職の危機にまで陥りかねない、男性更年期障害。根本的原因は?

「原因については、各診療科の専門医の間でも意見がわかれています。泌尿器科では、加齢に伴って男性ホルモンの分泌量が徐々に減少していくことが原因と捉え、受診すると『LOH(ロー)症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)』という病気を疑います。主な症状は勃起能の低下や性欲の減退、うつやイライラ、不安といった気分の変調、睡眠障害、疲労感、頭痛、耳鳴り、めまい、筋肉量の低下、内臓脂肪の増加、ひげの伸びが遅くなる、体毛や皮膚の変化などです。

 先に提示したチェックリストと似ていますが私は、精神的なストレスが男性更年期障害の主因であり、男性ホルモンの分泌量低下は、男性更年期障害の直接的な原因ではなく、その一症状であると考えています。泌尿器科医は男性ホルモン値が下がるから男性更年期障害になるという説を唱え、私たちは精神的ストレスを抱えるから男性ホルモン値が下がるという説で、論争が絶えません」

石蔵文信
(いしくら・ふみのぶ)1955年京都府生まれ。医学博士。内科・循環器・性機能専門医。イシクラメディカル代表。2001年に全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を開設。現在は「眼科いしくらクリニック」内で診療を継続。日本自殺予防学会理事も務める。夫の言動がストレスとなり妻の心身に生じる不調を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。定年後の男性のための料理教室や、社会活動の拠点となる「男のええ加減料理」や、子育て支援をしている祖父母世代がお互いに気楽に愚痴を言えるサイト「孫育のグチ帳~イクメンのグチもありよ~」も運営中。『夫源病』『定年不調』など著書多数。

―[男性更年期障害]―

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