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24時間ジム「エニタイム」の店舗数が急増。FCオーナーの“儲けたい心”を虜に

日刊SPA! / 2021年8月30日 8時52分

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―[あの企業の意外なミライ]―

◆「エニタイム」、フィットネス業界の“例外”も追い風に

 24時間型フィットネスクラブ「エニタイムフィットネス」のFC(フランチャイズ)展開しているファストフィットネスジャパンの業績が好調です。今年6月時点の店舗数は、全国で924店舗、会員数は59万人以上。直近の1年間で、140店舗以上を新たにオープンさせています。

 フィットネスクラブと言えば、コロナ禍で苦境に立たされ、2020年度の市場規模は3割超急減し倒産・廃業も過去10年で最高になっています。

 そんな中で、フィットネス?大丈夫?そう思っている方も多いでしょう。しかし、エニタイムは絶好調なのです。なぜ、好調なのか、その理由を紐解いていきます。

 多くのマシン、インストラクターを擁するいわゆる「スポーツジム」は「三密回避」のためにコロナで退会者が増加して倒産や廃業する企業も出てきています。

 しかし、「無人」「24時間」をウリにした「エニタイム」の会員数は昨年5月を底に持ち直しています。21年3月期決算説明資料によれば、プールやスタジオなどのスペースが完備されている総合型クラブに比べ売上高の落ち込みは小さく、営業利益はコロナ前を上回っています。

 エニタイムは、機械に特化しており、プールやスタジオなどの人の交流スペースがない事から休業要請対象になっていません。これはたまたまの追い風であったとも言えますが、コロナは、以前からトレンドになりつつあったものをより加速化させる傾向があります。

 ここで、フィットネス業界のプレイヤーを確認しましょう。

 売上高規模では、コナミスポーツ590億円、セントラルスポーツ360億円、ルネサンス302億円、ライザップ436億円、カーブス250億円、ティップネス206億円、ファストフィットネスジャパン111億円と売上規模では、一番小さいですがこの中で最も稼ぐ力があるのがファストフィットネスジャパンなのです。

 小ぶりだが“破壊力”が半端ないのです。

◆エニタイム、驚異の営業利益率約20%

 では、エニタイムの「稼ぐ力」の凄さを見ていきましょう。

 20年3月期の通期の決算をそれぞれ営業利益で比較すると以下のとおりです。

・コナミスポーツ 0円
・セントラル 38億円(営業利益率7.1%)
・ファストフィットネスジャパン 28億円(営業利益率24.1%)
・カーブス 54億円(営業利益率19.2%)

 これが、1年経ち、21年3月期になれば、営業利益と営業利益率に各社差が明確に開きます。

・コナミスポーツ 59億円(赤字)
・セントラル 8億円(営業利益2.2%)
・ファストフィットネスジャパン 22億円(営業利益率19.8%)
・カーブス 11億円(営業利益率4.4%)

 この中で、売上高が最も小さいファストフィットネスジャパンが営業利益で他の企業を上回る形となっています。営業利益率も20%前後をキープしていることから、同社は外的環境の影響を受けにくく、企業独自の要因で業績が推移していることが確認できます。

◆なぜ、エニタイムが強いのか

 ここまで見てみると、なぜ、エニタイムを手掛けるファストフィットネスジャパンだけが高成長を続けることができるのか。気になります。カギは、FC展開、つまり仲間づくりをどうやっていくかです。FC展開のあり方を考えさせられる事例になります。

 同社の強みは3つです。

1.新しいマーケットを開拓した
2.FCオーナーが店舗展開しやすい
3.フランチャイズロイヤリティが固定でFCオーナーのモチベーションが高まる

 FCというと、FCオーナーは本部から搾取されるイメージがありますが、新しいFCオーナーと本部の関係性を示している企業の1つがファストフィットネスジャパンです。

 同社は、今までマーケットとして確立されていなかった、「若い男性・低価格」の層を新規開拓していったことから新しいマーケット・潜在的なマーケットの掘り起こしに成功しています。ただし、フィットネス業界は参入障壁が低いため、新しいマーケットのシェアをいかに早く取ってしまうかが、生命線になります。

 そのために、FC店舗数の拡大が鍵を握るわけです。つまり、短期間でたくさんの仲間を集めて、FCオーナーとして店舗を出したいと思う仕組みが必要になります。

◆エニタイムはFCオーナーにとって魅力的な「ロイヤリティ」

「マシンジム」に特化したことで、初期投資やランニングコストを低く抑えることができます。また、店舗面積も80~120坪が中心の小さい規模で運営できるため損益分岐点を低い店舗モデルとなっています。「24時間」営業にすることで、無人の時間を作り多くの人材を配置しなくても店舗が回る仕組みにもなっています。

 そして、何よりフランチャイズのロイヤリティが固定であることです。

「エニタイム」の店舗は、8割以上がフランチャイズで運営されています。FCオーナーが本部にあたるファストフィットネスジャパンに支払う1店舗毎のロイヤリティが「定額・固定」なのです。

 会員数の増加に応じてFCの1店舗当たりの収益が比例的に増加する仕組みとなっており、FCオーナーは、自身が運営する店舗の会員数が増えれば増えるほど儲かる仕組みです。

 他業種も含め、FC契約の場合、売り上げに応じて、ロイヤリティも上乗せされるケースが少なくない中、会員数を増やす直接的なメリットは、本部ではなくFCオーナーが享受できるようになっています。

 FCのオーナーとして儲かることが分かれば、ファストフィットネスジャパンが新しく店舗を出したい場合、何人ものFCオーナーがすぐに手を挙げる状態ができているのです。

 店舗急拡大のカラクリは、FCオーナーとファストフィットネスジャパンの両者が手を取り合って成長していく姿にあります。日本でも健康意識の高まりからジムに通う人が増え、筋トレもブームになっていますが、フィットネス参加率は5%に留まります。米国では、フィットネス参加率が20%であることを鑑みても、まだまだ日本でも成長余地のある産業だと言えます。

 ただし、企業として成長を加速できるかどうかは、同社のようにFCオーナーと共に豊かになっていく。そのような感覚を持っている企業が次の循環型社会での中心企業になっていくでしょう。<文/馬渕磨理子>

【馬渕磨理子】
経済アナリスト/認定テクニカルアナリスト、(株)フィスコ企業リサーチレポーター。日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでマーケティングを行う。Twitter@marikomabuchi

―[あの企業の意外なミライ]―

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