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カングーディーゼルを買いそびれた人はどうすべきか? 欧州車EV化への備え

日刊SPA! / 2021年9月5日 8時53分

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数年前の段階で、ルノーは日本ではディーゼルモデルを展開しないと聞いておりました。日産にも早々に撤退させたし。でも、本国では新型カングーにもディーゼルを用意。カングーの主力は、今でも本国ではディーゼルのまま

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―

◆さよならディーゼル、さよならMT。400台限定カングーは、消えゆく虹だった

 現行ルノー・カングーは、今から14年前に登場した2代目。イマドキ当たり前の先進安全装備なんてほとんどないが、そのぶん価格も安くて積載性も高い、おフランス製のミニバンであります。そんなカングーに、待望のディーゼルエンジン搭載モデルが400台限定で輸入されました。しかもMT! しかし、これは日本のカーマニアにとって刹那のヨロコビでした。

永福ランプ(清水草一)=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信(流し撮り職人)=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu

◆日本のカーマニアに悲報!

 悲報です。遠くない将来、ディーゼルエンジンは消滅します。バスやトラックなど大型車用はまだ存続するけど、乗用車用、それも小型車用は、数年以内に消滅へと向かうでしょう。

「そんなの勝手に消えろや!」

 そうおっしゃる日本人が多いことはわかってます。でもマニアにとっては、とても悲しい出来事なのです。だってディーゼルエンジンって、すっごく実用的な力持ちで、ロングドライブだとリッター20㎞の低燃費でどこまでも走ってくれて、しかも軽油ってガソリンよりリッター20円以上安いんだから! それがなくなっちゃうなんて悲しいよ~!

 乗用ディーゼル最大の消費地はヨーロッパ。日本でのシェアは3%くらいしかない。アメリカや中国ではまったく売れてない。つまり、ヨーロッパの需要がなくなったら、乗用ディーゼルは終わる。

 ヨーロッパでは、VWのディーゼル不正事件以来、ディーゼル排ガス規制が厳しくなり、クリアするためのコストが徐々に上昇している。値段の安い小型車では、もはやペイしなくなりつつある。

 しかもヨーロッパの自動車業界は、全力を挙げて脱炭素化を推進中。近いうちにガソリンエンジンもなくなるが、先陣を切って、小型ディーゼルがなくなるのだ!

◆最後のディーゼルモデル

 今回ご紹介するのは、ルノー・カングーのディーゼルモデル。現行カングーの最終ロット400台が、ルノー車として最初で最後のディーゼルモデルとして輸入された(しかも6速MT!)。排気量は1.5リッター。まさに消えようとしている虹に、ギリギリ追いついたかのようなクルマである。

 運転して、涙が出た。ああ、これが憧れのルノー・ディーゼルか。国産初のクリーンディーゼル・日産エクストレイルの2リッターディーゼルエンジンも、ベースはルノー製だった。エクストレイルのディーゼルも最初は6MTだけで、カーマニアを大いに喜ばせたものだ。13年前のあの感動がよみがえる。

 ディーゼルエンジンは低速トルクの太さがキモ。つまりMTで効率よく乗るには、こまめなシフトチェンジが欠かせない。発進してすぐ2速、時速30㎞で3速、40㎞で4速という具合に、ちょこちょことシフトチェンジを繰り返しつつ、グググッと盛り上がるディーゼルの低速トルクを味わえば、「これぞ憧れ続けたヨーロピアン・カーライフ!」と目頭が熱くなる。

◆低速トルクが足らず…

 しかし、そこにも滅びの予兆はあった。タコメーターが1200以上を指してないと、低速トルクが足らずにエンスト気味になってしまうのだ。かつてのディーゼルエンジンでは考えられないが、排ガス規制強化の影響だろう。ディーゼルの輝きは、もはや失われつつある。ルノーはすでに、ディーゼルエンジンの新規開発を中止しているという。

 そんな、絶滅寸前のトキのようなカングー・ディーゼルだが、輸入された400台はすでに売り切れてしまって買えない。まさに悲報。

◆次期カングーの全幅はスーパーカー並

 次期カングーはどうなるのかというと、まず顔が「なにこれ?」みたいになる。そして全幅はスーパーカー並の1919㎜に。アルファードより7cmも幅が広い。そんなもん、普段乗れるか!

 でも心配はいりません。カングー・ディーゼルみたいなフランス車が欲しい人のために、シトロエン・ベルランゴが発売されておりまする。カングー・ディーゼルと同じ1.5リッターのディーゼルエンジンに、8速ATが組み合わされた、見るからにステキなファミリーカーだ。このところ、日本でのシトロエン車販売台数の約半分はこのベルランゴ。つっても月に300台くらいだけど。

 とにかく、カングー・ディーゼルを買いそびれた人も、ベルランゴを買っておけば、あと15年は乗れる。そのころにはガソリンスタンドも激減し、「いい加減EVにしようか」っていう世の中になっているのでしょうね。しみじみ。

◆【結論!】

 ヨーロッパは自動車発祥の地であり、自動車の本場。その本場で電動化というクーデターが発生し、日本人の憧れが次々に消えていく。カーマニアは、消えないうちに買えるものを買っておきましょう!

【清水草一】
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―

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