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自民党総裁選 暗躍する安倍前首相、岸田ではなく高市を支持するワケ

日刊SPA! / 2021年9月8日 8時44分

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総裁候補が乱立する騒ぎに

◆党員人気の河野氏と宏池会のプリンスが有力視されるなか暗躍する安倍前首相

「懐の深い方で、息子みたいな年の私に引くという選択肢まで含めて話をする。(中略)思い出すとね、言葉が浮かんできますけど……」

 9月3日、言葉を詰まらせながらこう語ったのは小泉進次郎環境相。この日はポエムを温存。突如、菅首相が自民党総裁選への不出馬を表明したことを受けての男泣きだった。

 首相の電撃退陣は、日本中を驚かせた。前日には「二階俊博幹事長に、総裁選に出馬する意向を伝えた」と報じられていたからだ。翻意のきっかけは8月末にあったという。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が話す。

「毎日新聞が突如『菅首相は9月中旬に解散に踏み切る意向』と報じたんです。これが自民党内で『総裁選を先送りする勝手な解散は容認できない』と猛反発を呼び、首相の専権事項である解散権が事実上奪われた」

 そこに身内が追い打ちをかけた。

「9月2日には首相のお膝元である自民党神奈川県連が『応援できない』と“菅離れ”を表明。その晩には、菅首相が麻生太郎副総理に『河野太郎行革担当相を幹事長に据えたい』と打診しましたが、『河野が潰れたらどうするんだ?』と拒否された。

 菅首相は石破茂氏を政調会長、二階派の武田良太総務相を選対委員長とする人事も考え、当人と土日に直接会談する手はずを整えていたようですが、身内や麻生氏らから突き放されて、退陣以外の選択肢がなくなった」(鈴木氏)

◆総裁候補が乱立する騒ぎに

 その結果、ご覧のとおり総裁候補が乱立する騒ぎに。岸田文雄前政調会長は連日メディアに登場。河野氏も出馬に意欲を示し、「武田総務相らが石破氏を推す姿勢を見せている」(全国紙政治部記者)という。

 下村博文政調会長や野田聖子幹事長代行の名も挙がっている。だが目下、注目を浴びているのは高市早苗前総務相。最大派閥細田派の事実上の領袖、安倍前首相の支持を取りつけたとされているからだ。

「高市氏は元細田派で安倍氏と政治信条が近く、保守票を期待できるため、とされているが、実態は違う。“河野首相”なら、急激に世代交代が進んで党内の制御が利かなくなる。

 かつてのポスト安倍最有力で禅譲の話もあった岸田氏を支持するのが順当だが、河野氏の対抗馬としては弱いうえ、モリカケ問題や’19年参院選で河井杏里陣営に流れた1.5億円問題に言及し始めた。

 再び安倍氏が矢面に立たされるリスクがあるため、消去法で高市支持になったんでしょう」(二階派議員)

◆現状、“高市首相”の芽は薄い

 麻生氏も支持すれば、細田・麻生両派をまとめて議員票383票の3分の1に達する可能性も。だが現状、“高市首相”の芽は薄い。鈴木氏が話す。

「今回の総裁選は衆院選と直結するうえ、党員票も加えたフルスペック選挙。議員票と同数の党員・党友票の獲得が大きなカギを握ります。その党員人気が高いのは、河野、石破、岸田氏の順。支持率低迷で落選の危機に瀕している党内若手議員が派閥の論理に縛られずに投票する可能性を考えれば、この3氏に絞られそうです」

◆注目は河野氏

 なかでも政治ジャーナリスト・藤本順一氏の注目は河野氏だ。

「祖父・一郎氏、父・洋平氏と続く政界の名門の出で、党員、国民からも人気が高い。その言動が反発を呼びがちですが、一定の保守票も見込める」

 加えて、期待されるのが小泉氏の支持を取り付ける可能性。

「二階氏という安倍・菅両政権を陰で支えた最大の功労者の切り捨ては、保守思想にもとる行為。仕えた首相の退陣に涙して男を上げた小泉氏のほうが、保守層の支持を取り付けられるポテンシャルがある。同じ“神奈川県勢”で、昨年の総裁選でも河野支持を表明していた小泉氏の存在は、河野氏の追い風になると見ています」(藤本氏)

◆もう一人のキーマン

 今後、総裁選に向けて、二階氏や第3派閥・竹下派の動向も注目されるところだが、もう一人のキーマンがいることに留意しておきたい。

「菅首相です。世襲ではないうえに、地元・神奈川での支持を失っているため、退陣を期に政界引退の可能性もあると噂されています。自民党が下野して以降、無派閥を通したように、もともと権力に対する執着も強くない。引退とともに世代交代を促せば、河野氏の追い風となり、衆院選での“同情票”も見込める。結果的に見事な引き際だったと評される可能性もある」(同)

 派閥の論理を超えて国民の支持を得られる総裁が誕生するのか……? 9月29日の決戦に注目したい。

◆注目を浴びる自民党総裁“候補”の顔ぶれ

●河野太郎(58)
行政改革担当相兼ワクチン担当相
神奈川15区 当選8回 麻生派(志公会)

ツイッターのフォロワー数は235万人で国会議員最多で、若手・中堅からも「選挙の顔」として人気。だが名門河野家は祖父・一郎、父・洋平とも「総理の座」をあと一歩のところで逃している。一族の“呪い”から解き放たれるか

●岸田文雄(64)
前政調会長
広島1区 当選9回 岸田派(宏池会)

安倍前政権時代は外相として、オバマ元米大統領の広島訪問、従軍慰安婦問題の日韓合意を実現。宏池会は公家集団と揶揄されてきたが、君子豹変の「二階切り」人事改革案を打ち出し、菅首相の不出馬、候補者乱立の引き金に

●石破 茂(64)
元幹事長
鳥取1区 当選11回 石破派(水月会)

メディアの「次の総理」の調査では常に1 位も、前回の総裁選では最下位に沈んだ。防衛、地方創生などの政策通として知られる。以前の取材では「総裁選ギネス記録に挑戦しているわけではない」と語るも、5回目の挑戦は……

●高市早苗(60)
前総務相
奈良2区 当選8回 無派閥(元細田派)

柳澤伯夫元厚労相の「(女性は)産む機械」発言には「私は子供を授かれない体なので、機械なら不良品」と猛批判。政治信条の近い安倍前首相からの支持を取り付ける。「ニュー・アベノミクス」を提唱し、初の女性首相を目指す

◆自著出版は立候補のサイン 総裁選のもう一つの争い

 総裁選立候補の前に理想の国家像、政策や政治理念をまとめた著書を出版するケースが多い。前回の総裁選直前には岸田氏が『岸田ビジョン』(講談社)を出版。今回、河野氏は8月27日に『日本を前に進める』(PHP新書)を上梓、高市氏は9月19日に『美しく、強く、成長する国へ。』(WAC)を出版する。すでに出馬表明をしていたのも同じ?

<取材・文/週刊SPA!編集部 写真/産経新聞社>
※週刊SPA!9月7日発売号より

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