ノートPCに外付けGPUを導入した結果、高性能デスクトップと同じ性能に
日刊SPA! / 2022年5月22日 15時52分

外付けGPUには、モニターを3台繋いでいる
―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―
腕時計投資家の斉藤由貴生です。私は15年ぐらい前から、ノートパソコン1台で全てをこなすという生活を送っているのですが、周りのエンジニアを見ても、ノート1台で全てをこなすという人が多い印象です。
パソコンで仕事をするといった場合、どのような場所にも持ち運べるノートパソコンが便利ですが、それが可能となったのは、ノートパソコンの性能がデスクトップと遜色なくなったからだといえます。しかし、今でもノートパソコンとデスクトップとの間には、大きな“差”が存在。それこそが、GPUの性能であります。今回、私は外付けGPUをノートパソコンに導入したので、そのレポートをお伝えしたいと思います。
◆そもそも、GPUとは?
GPUは、画像処理をする装置。それを載せたものが、ビデオカードやグラフィックボードなどと呼ばれ販売されています。近年、GPUは、最もパソコン性能の“差”を感じることができる装置だといえます。
私は、2000年にはじめて自作パソコンを組み立てたのですが、その際ビデオカードはそこまで重要ではなく、むしろCPUの性能が重視されていました。しかしながら、CPUは年々優秀になった結果、十数年前ぐらいから、通常の性能のモノで十分という域に到達。その頃から、“差”を生み出すのはGPUとなっていったといえます。
そして、現在、ビデオカードは半導体不足の影響もあって、「お一人様1点限り」といったアナウンスが出る製品すらある状況。だれがそんなに買うのか、と思われるかもしれませんが、自作パソコンなどでは、ビデオカードだけ交換するということは簡単。性能差を体感しやすいGPUを新しいモノに交換するといった需要があるのでしょう。
◆ノートパソコンでのGPU
しかし、ノートパソコンでは、ビデオカードを簡単に交換するということはできません。現在のノートパソコンの内部は、びっくりするぐらい小さなボードに、CPUやSSDといった記憶装置、メモリまでが内蔵されており、全く拡張性はありません。また、ノートパソコンのGPUは、CPUに内蔵されているという形式が一般的。そもそも分離されていません。
もちろん、機種によっては、外部GPUを採用している場合がありますが、それはノートパソコン用のGPU。デスクトップパソコン用のGPUは、それ自体の大きさから、ノートパソコン内に内蔵させることはできないため、GPU性能については、デスクトップパソコンと大きな差があるわけです。
Windows98ぐらいの時代まで、ノートパソコンとデスクトップとには大きな性能差があるといわれていましたが、core 2duoが登場した2006年頃からは、通常の使用であれば、感じられる性能差がほぼ無くなったといえます。けれども、GPUについてだけは、いまだに大きな差があるわけです。
◆GPU性能に差を感じる部分
通常の用途であれば、CPU内蔵のGPUだったとしても、まったくストレスなく使うことができるわけですが、では、いったいどういった部分にGPUの性能差を感じられるのでしょう。最も分かりやすいのは、パソコンでゲームをする場合、動画の編集を行う場合。また、暗号通貨をマイニングするといった用途でも重要となるようです。いずれにしても、特定の用途に限られるといえます。
そのため、そのようなことをしない人の場合、高性能なGPUを導入したとしても、宝の持ち腐れになるといえます。実際、私は、ゲームも動画編集もしないので、高性能なGPUを使う必要はありません。
◆外付けGPUを導入してみたら
しかし、私は今回、あえて外付けGPUを導入してみたところ、「これは良い」という結論に至りました。では、何が変わったかというと、すべての動作がよりサクサク動くようになった結果、作業効率が大幅に上がったのです。それは、PhotoshopなどGPU性能を感じられやすそうなソフトだけでなく、WindowsといったOS自体の挙動も早くなった具合です。
また、パソコンで映画を見る場合、外部モニターを繋いでも、これまでは残像などが若干気になっていたのですが、外付けGPU導入後はそれが解消。さらに、YouTube動画などを見ても、人の動きがとてもなめらかになり、GPU性能の凄さを感じられたわけです。
ちなみに、私は家でノートパソコンを使う場合、外部モニターに繋いでいます。これまで、パソコンで映像を見る際に残像が残るのは、モニターの性能によるものだと思っていたのですが、実はGPU性能が低かったからということに気づきました。ですから、外部GPUを導入した私は、性能差を体感できたわけで、大満足という結果になったわけです。
◆外付けGPUの導入方法
ここからは、外付けGPUの導入方法などについてお伝えしたいと思います。
ビデオカードは、本来パソコン内部にあるマザーボードにさして使うものですから、数年前まで「外付けのGPU」などという発想はありませんでした。それがなぜ、マザーボードに直接ささなくても使えるようになったかというと、Thunderbolt3という伝達規格が登場したからです。
Thunderbolt3では、機器を最大40Gbpsでつなぐことが可能。この伝達速度であれば、ビデオカードを外付けするということができるわけです。さらに、Thunderbolt3では、40Gbpsという高速伝達をしながら、機器を充電するということも可能。つまり、充電ケーブルのような細い線を1つ差せば、外部GPUだけでなく、外付け機器すべてをつなぐことができてしまうのです。
そうなると、線を1本つなぐだけで、ノートパソコンがデスクトップPCに早変わり。こういった装置は、ドッキングステーションとして販売されていますが、外付けGPUボックスはそれを兼ねているといえます。
◆どこで買えば良いのか
そんな外付けGPUですが、まだあまりメジャーではないため、売られている姿をあまりみかけません。私は、あまり外付けGPUボックスの仕組みに詳しくなかったので、先日、20年ぶりに秋葉原の実店舗に買い物に行ってきました。ただ、秋葉原でも、外付けGPUボックスを扱う店は数店舗しかありませんでした。
例えば、ドスパラといった有名店で「外付けGPUボックスありますか?」と聞いても、「取り扱いがないから、ツクモやパソコン工房さんに行ってください」といわれたほど。結局、実物を展示していたのは私が探した限りツクモだけでした。
そして、店員さんに外付けGPUについて聞くと、いま出ている商品は基本的には、そのメーカーのノートパソコン専用に作られたモノで、他社製品との接続は保証外ということ。保証外ではあるものの、繋げないわけではないということだったので、私はRazer製の外付けGPUボックスを購入。そして、別の階に移動して、そのボックス内に収まるビデオカードを店員さんに選んでもらいました。
これらは別々の商品であるため、家に持ち帰り次第、外付けGPUボックスの中に、ビデオカードをさす必要があります。なお、費用ですが、外付けGPUボックスが約5万円。ビデオカードが約4万円。合計9万円でした。ただ、この外付けGPUボックスとビデオカードは、ノートパソコンを買い替えても使い続けることが可能です。
◆動作の不安定を改善する設定方法
では、その外付けGPUの挙動はどうかというと、工夫すれば安定して快適に使える状態です。
パソコンの場合、相性問題などから、メーカー純正品以外の外部GPUのような性能に直結する部品を導入する場合、挙動が乱れる心配があります。実際、私も導入するまでその心配をしており、繋いだときは、見事に変な挙動が発生。しかし、それらは、OSやGPUの設定を変更することで改善しました。
まず、OSについてですが、Windows10の場合、「グラフィック設定」から、「ハードウェアアクセラレータによるGPUスケジューリング」を「オン」にします。この際、再起動する必要があるのですが、実は再起動だと、なぜだか内蔵GPUと外付けGPUが競合するような挙動となり不安定に。その後、再起動ではなく、シャットダウンすることで安定した挙動となることがわかりました。
次の問題として、使っていると急にフリーズして、電源を強制的に切らないとまったく動かないという状態が起こりました。ただ、それはGPUの設定変更で解消。私はnvidiaのGPUを使っているのですが、この場合、「3D設定の管理>グローバル設定>電源管理モード」を「パフォーマンス最大化を優先」にすることでフリーズ問題は解決しました。
◆ノートパソコンが高性能デスクトップの性能に
以上2つの設定を行うことで、サクサクと快適に使えている状態が完成。ただ、スリープや再起動後は変な挙動が見られるため、スリープはせず毎回シャットダウンをする必要があったり、再起動後はもう一度電源を入れ直すという不便さはあります。
ただそれでも、外部GPUを導入したことにより、ノートパソコンでも高性能デスクトップ並の環境を手に入れることができたため、私としては、ノートパソコン1台ですべてをこなすというユーザーに外付けGPUはおすすめだと思っています。
最後に、外付けGPUを導入した私のパソコンと周辺機器のスペックをお伝えします。
<ノートパソコン>
機種:ThinkPad X13 gen2
CPU:11th Gen Intel Core i7-1165G7 @ 2.80Ghz
メモリ:32GB
記憶装置:SSD 2TB
<外部接続装置>
GPUボックス:Razer Core X Chroma
ビデオカード:MSI GeForce GTX 1660 SUPER
ディスプレイ1:EIZO Color Edge CG2420
ディスプレイ2:EIZO FlexScan S2133-H
ディスプレイ3:EIZO FlexScan S2133-H
マウス:Microsoft Classic IntelliMouse
キーボード:REALFORCE 108UH-S
DAC:DENON PMA-60
スピーカー:JBL 4312M II
<文/斉藤由貴生>
【斉藤由貴生】
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある
―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―
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