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今日打ち上げ「H3ロケット」は7年遅れ…日本の宇宙開発“致命的な遅延”をもたらした理由

日刊SPA! / 2024年6月30日 8時50分

◆追いつき、また引き離された衛星技術
 
日本の宇宙技術の立ち遅れは、ロケットだけではない。過去、日本はNASDA、そして後身のJAXAの技術試験衛星シリーズで、静止衛星技術の底上げを図り、1994年打ち上げの技術試験衛星6型「きく6号(ETS -Ⅵ)」で、当時の世界の主流になりつつあった静止軌道初期重量2トン級の静止衛星技術を手に入れた。続く「きく7号」(1997年打ち上げ)は、ランデブー・ドッキングと宇宙ロボットの試験衛星で、ここで開発した技術は国際宇宙ステーション(ISS)への、物資補給船「こうのとり(HTV)」のランデブー・ドッキングに活用された。

次の「きく8号(ETS -Ⅷ)」(2006年打ち上げ)は、さらに大型の静止軌道初期重量3トン級の静止衛星技術を取得するために開発された。きく8号で得られた衛星の基本技術はその後三菱電機に移転されて、気象衛星「ひまわり7、8、9号」、準天頂衛星「みちびき」各号に使用された。

が、ここで体制改革が始まって、技術試験衛星シリーズは内閣府の技術開発への攻撃のため停滞してしまった。

最新の技術試験衛星9号機(呼び方が変わった)の開発が立ち上がったのは、2016年だった。この時点ですでに「きく8号」打ち上げから10年空いてしまっている。きく8号は、1997年に開発が始まっているので、そこから計算すると実に19年振りの技術試験衛星ということになる。当初は2021年度にH3ロケットで打ち上げる予定だったが、H3の開発遅延に巻き込まれ、2024年の現時点では2025年度打ち上げとなっている。

<文/松浦晋也>

【松浦晋也】
ノンフィクション・ライター。宇宙作家クラブ会員。1962年東京都出身。日経BP社記者を経て2000年に独立。航空宇宙分野、メカニカル・エンジニアリング、パソコン、通信・放送分野などで執筆活動を行っている。『飛べ!「はやぶさ」 小惑星探査機60億キロ奇跡の大冒険』(学研プラス, 2011年)、『はやぶさ2の真実 どうなる日本の宇宙探査』(講談社新書, 2014年)、『母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記』(日経BP, 2017年)など著書多数。

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