<漫画>勉強を“させられすぎて”精神が崩壊する子供たち…後を絶たない“教育虐待”の実態
日刊SPA! / 2024年8月26日 15時54分
例えば、「ケース1 教育という名の暴力」の第2話では、“教育虐待”によって洗脳された子供が心を壊して入院しているにもかかわらず、一心不乱に勉強し続ける姿を描いています。実際の取材でも、「子供に何が苦しいの?」と聞いても「わからない……」、「なぜいい学校に行きたいの?」と聞いても「みんな行っているから……」としか答えられない。本人もなぜ勉強しているのかわからない。その子の手首を見ると、ザクザクした傷跡がある。苦しみを言語化することすらできないのです。
◆“教育虐待”が放置されている理由は…
――第3話では、“教育虐待”を受けている女の子が、同じように親に追い込まれた兄から性的虐待される衝撃的なシーンもあります。
石井:漫画では名門校に進学した兄による妹への性的虐待として描いていますが、“教育虐待”によるストレスは、いじめや万引き、あるいは自傷行為など歪んだ形で確実に表に出てきます。受験に押し潰された子供だけでなく、競争に勝ち抜いた子供であっても、無理やり勉強を強いられたストレスは相当なものです。人によっては社会に出た後に、抱え続けてきたストレスが何らかの形で現れることもあります。
――なぜ、このような“教育虐待”が放置されているのでしょうか。
石井:現状の虐待の概念にうまく当てはまっていないからだと思います。いくら子供のためであっても、親が人格を否定するような言動を浴びせて勉強を強いる行為は、本来は心理的虐待に当たります。しかし、一般の人が考えている心理的虐待とは少し異なるので、見逃されてしまいやすい。また、“教育虐待”はネグレクトと真逆です。子供たちは勉強をさせてもらえている。ある意味で恵まれた家庭に育っています。子供に勉強をさせる親は、正しい親だと世間的に思われていることも大きいと思います。“教育虐待”を受けた人自身が、大人になって社会的地位を手に入れて、過去の体験を肯定してしまうケースも少なくありません。
◆親自身も「生き方も迷走している人が多い」
――どうすれば“教育虐待”をなくすことができるでしょうか。
石井:やはり“教育虐待”を独立した虐待の概念として認知しない限り、難しいと思います。例えば、子供が見ている前で夫婦が暴言や暴力をふるう行為は、昔はただの夫婦喧嘩で済まされてきました。しかし、今では面前DV(ドメスティックバイオレンス)という子供に対する心理的虐待であり、警察や児童相談所へ通報する義務があります。同じように“教育虐待”という言葉も認知されれば、変わっていくはずです。
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