<漫画>勉強を“させられすぎて”精神が崩壊する子供たち…後を絶たない“教育虐待”の実態
日刊SPA! / 2024年8月26日 15時54分
――加熱する中学受験ブームが“教育虐待”の温床になっているのでしょうか。
石井:受験ブームの影響もありますが、親が目にみえる成果を金で買うような風潮が大きいと思います。保育園や幼稚園の頃から知育おもちゃを買い与え、習い事に通わせる。その延長線で、小学3年生くらいから進学塾に通わせて受験勉強を始める。塾側もそれをあおり、子供を合格させれば素晴らしい親、受からなかったらダメ親だと思い込ませる。親は子供のためなら借金してでも金を払いますし、社会全体がどうやって親から金を搾り取るかになっている気がします。
また、親自身もコロナ禍以降、他者と接する機会が失われ、狭い価値観の中でタコツボ化しているように感じます。お受験ママ同士がSNSで繋がっていても、たくさんの情報を得ているようで、実は非常に狭い世界の中で生きている。子育てだけでなく、自分の生き方も迷走している人が多いのではないでしょうか。
◆「YouTubeかゲームしかしない」子供は…
――最後に、今まさに“教育虐待”を受けている子供たちに伝えたいことは。
石井:漫画化したのは、“教育虐待”の被害を受けている子供たちに、自分たちがされていることは虐待なのだと気付いてほしいからです。そもそも被害を受けていることすらわからなければ、誰かに相談することもできません。うちの家庭はおかしいのかもしれないと認識することで本人の生き方が変わるはずです。
そして、親たちにとってもブレーキになればと思っています。子供が苦しんでいるのに気付いていても、すでに受験に多額の費用をつぎ込んでいれば、なかなか途中でやめることができないかもしれない。でも、子供を信じてあげてほしい。よく親は「うちの子は放っておいたらYouTubeかゲームしかしない」と言いますが、もし本当にそうなら、すでにその子はおかしくなっています。必ず子供は自分で好きなものを見つけて歩んで行きますから。
<取材・文/中野龍>
【中野 龍】
1980年東京生まれ。毎日新聞「キャンパる」学生記者、化学工業日報記者などを経てフリーランス。通信社で俳優インタビューを担当するほか、ウェブメディア、週刊誌等に寄稿
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