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30代でFIREを達成した経営者が「1年後に再び働き始めたワケ」。“虚無感に襲われる日々”との戦い

日刊SPA! / 2024年11月30日 15時52分

◆「刺激がないFIRE生活」の虚無感

 また、FIRE後の日常生活では、「目標」を持てなかったのも、大きな理由でした。思い返すと、FIREという目的に対して、たくさんの試行錯誤がありました。もともとスポーツマン気質な私は、目的に向かって進んでいくことが好きなタイプです。失敗しては学び、また挑戦する。大変なこともありましたが、それすらも楽しみながら挑戦を続けていました。

 さらに、自分が成長している実感があったため、辛いことや大変なことがあっても、前向きに頑張れたのだと思います。でも、FIRE後には「頑張るきっかけ」がなくなったことで、喪失感が生まれてしまったのかもしれません。

 以前から、「定年退職した人が急にボケてしまう」という話はよく聞きますが、私自身はこの話には納得感しかありません。お金も時間もあるから、旅行に行ったり、おいしいものを食べたり、自分を楽しませたりすることはできる。でも、それだけだと、どこか物足りない。そんな空虚な日々を送るようになりました。

◆ビジネスは「人に感謝される絶好の機会」

 もうひとつ、FIRE後に強く感じたことがあります。それは、「感謝される機会が減ると、人生はつまらない」ということです。ビジネスをしているときは、自分の提供する価値をお客様に感じてもらえる場面がたくさんありました。たとえば、自分が提供する何かのサービスやコンテンツが「よかった」「役に立つ」と思ってもらえたら、お金という対価が発生します。単なる取引以上に、ビジネスで対価を得ることは、自分が社会で役立っている証明でもあったのだと気が付きました。

 でも、FIRE後は仕事がなくなるので、必然的に「社会とのつながり」が薄れていきます。「お金を稼がなくてもいい」という状態でいられることは、ひとつ幸せなことかもしれませんが、その分、誰かに感謝される場面も減ってしまうでしょう。その結果、どこか退屈さを感じるようになったのです。

◆「お金がある=幸せ」ではない

 FIREした後、海外の富豪たちのセミナーに参加したことがあります。講師たちは、50億円、100億円という資産を持つお金持ちたちばかり。正直、大富豪なので、新たにお金を稼ぐ必要はまったくありません。

 しかし、彼らの多くは純粋に「自分の知見が他人のためになれば」「人前で話すのが好きだから」「教えるのが楽しいから」という理由で講演活動を行っている。経済的には「もう十分だ」と感じつつ、自分の好きなこと、すなわち周囲を喜ばせる行為を続けるその姿を見て、「人間って、ただお金があれば幸せになれるわけじゃないんだな」と感じました。

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