日産、凋落の理由は「“売れる車”を開発できなくなったから」数々の名車を生み出した“技術の日産”が迎える正念場
日刊SPA! / 2025年1月11日 8時53分
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経済本や決算書を読み漁ることが趣味のマネーライター・山口伸です。『日刊SPA!』では「かゆい所に手が届く」ような企業分析記事を担当しています。さて、今回は日産自動車株式会社の歴史について紹介したいと思います。
かつては“技術の日産”と言われ、フェアレディZやスカイラインなどの名車を生み出してきました。90年代以降は苦難の時代を迎えるも、カルロス・ゴーン氏による改革で体制を立て直しました。しかし近年では主力の北米・中国市場で苦戦し、ついにホンダとの経営統合に向けて動き出しています。そんな日産の歴史について振り返りたいと思います。
◆「ダットサン」ブランドを確立
日産は1911年に設立した自動車メーカー「快進社自動車工業」がルーツです。1914年に「ダット自動車」を開発し、後に軍用トラックの生産を始めました。26年には実用自動車製造と合併してダット自動車製造となり、1931年に戸畑鋳物の傘下に入りました。戸畑鋳物は実業家・鮎川義介氏が興した企業です。その後、32年に国産車「ダットサン」を開発しました。
1933年に陸軍の意向で軍用自動車メーカーが統合することになりましたが、この際に鮎川氏の戸畑鋳物がダットサンの商標と製造権を引き受け、32年に乗用車のメーカーとして日産自動車が設立されました。1949年に自動車に生産制限がGHQによって解除されると、欧米車を参考にしながら技術力を高めていきました。
1966年には「スカイライン」を生産していたプリンス自動車工業と合併。そして69年に発売したスポーツカー「フェアレディZ」はその特徴的な外観と欧州車並みの性能が受け、世界的にヒットしました。北米での販売台数が増えるにつれ、「DATSUN」ブランドの認知度は高まりました。
◆“販売のトヨタ”に対して“技術の日産”
一方で国内ではトヨタに差を付けられました。トヨタは70年代から80年代にかけ、全国のディーラーを組織化することで、マーケティングに注力しました。必ずしも技術力に差があるわけではありませんが、“技術の日産”を標榜することで、技術力の高さをアピールしたのです。なお1981年には、北米で日産よりも高い認知度を有していたダットサンブランドを何故か廃止しており、販売面での迷走ぶりが窺えます。
1989年にフェアレディZ(Z32型)、スカイライン(R32型)などの名車を発売しましたが、バブル崩壊以降、国内の新車販売台数が減少するなかで、日産の業績は悪化しました。販売網はトヨタの方が強く、不景気で日産が得意とするハイエンド帯も売れなくなりました。そして国内市場はそもそも、軽自動車の比率が上昇していました。日産の赤字は増大し、99年には実質的な有利子負債が2兆円を超えました。
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