【内田雅也の追球】赤とんぼが伝えた敢闘
スポニチアネックス / 2024年9月24日 8時2分
◇セ・リーグ 阪神0ー1巨人(2024年9月23日 甲子園)
試合前練習中、一塁側阪神ベンチに赤とんぼが舞いこんできた。岡田彰布監督がまず「あ! とんぼや」と気づいた。猛暑続きで甲子園に赤とんぼがいないと話していた監督は「初めてちゃうか」と笑った。「涼しくなったからなあ。昨日は久々にクーラーなしで寝られたわ」と、ようやく秋めいてきていた。
あの赤とんぼは中村勝広さんではないかと思った。亡くなった方が虫や鳥などに姿を変え、この世に戻って来る話をよく聞く。命日だった。
阪神ゼネラルマネジャー(GM)だった2015年9月23日、遠征先東京のホテルで急死した。東京ドームで巨人に敗れ、優勝の可能性がほぼ消えた夜だった。無念をかみしめたベッドで脳出血で永眠していた。
千葉で告別式に参列した岡田さん(当時評論家)に不思議なことが起きた。手にしていた数珠の糸が突然パーンと切れ、珠が飛び散ったのだ。あれは中村勝さんが早大後輩の岡田さんに「あとは頼んだ」というメッセージだったと思っている。昨年優勝への感謝と連覇への期待である。
前夜勝利の余韻も残るなか、必勝を期して臨んだ一戦だった。猛虎たちはよく戦ったが、前夜の裏返しとなる0―1で敗れた。好機で3打席凡退した佐藤輝明、2ストライクと追い込んでから3連打され失点した高橋遥人……など、悔恨はいくらもあるだろう。ただ、それも全て精いっぱい戦った上での結果である。誰が悪いと言うような試合ではなかった。
赤とんぼで思い出す。2006年にエレベーター事故で亡くなった都立小山台高校野球部(同校の呼称では野球班)の市川大輔(ひろすけ)さんが後に赤とんぼとなって何度もグラウンドにやって来たというのだ。14年選抜に21世紀枠で出場した際、監督の福嶋正信さんから聞いた。
市川さんのメールアドレスは「everyday my last」とあった。「毎日が最後のつもりで生きる」「一分一秒を悔いのないように生きる」が信条だった。
サムライのような姿勢は今の阪神に通じる。監督自身、陽子夫人が結婚前「サムライのよう」と感じた勝負師である。
敗戦後、監督は会見場に姿を見せず、通路を歩いた。監督付広報が手で制し、背中の「80」を見送った。まだ望みは捨てていない、敢闘すると書かれていた。 (編集委員)
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