ウクライナ出身の獅司が九州場所での新入幕確実に 飛躍のきっかけは「ママ」直伝の前ミツの形
スポニチアネックス / 2024年9月24日 10時3分
大相撲秋場所で、ウクライナ出身の西十両2枚目・獅司(27=雷部屋)が9勝6敗の成績を残し、九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)での新入幕を確実とした。
千秋楽、西前頭12枚目の金峰山(27=木瀬部屋)との“入れ替え戦”の意味合いが強い大一番を制した。突き起こそうとする相手に対して頭を上げず、左を深く差して中に入って投げをこらえてもろ差しで寄り切った。大きな白星に「うれシシです」とお気に入りのダジャレで喜びを表した。取組後の花道では、師匠の雷親方(元小結・垣添)から祝福の握手。「良い相撲だったな」と労いの言葉を掛けられていた。
獅司は昨年名古屋場所、初土俵から3年半かけて新十両に昇進。アマチュア時代に世界選手権重量級3位の実績を残すなど入門時から期待の大きな逸材で、身長1メートル90を超える巨体とパワーを生かした相撲で順調に出生していった。
関取昇進後は、勝ち越して番付を上げると次は負け越し…と幕内への殻を破れない一進一退の日々が続いていた。新十両からちょうど1年となった名古屋場所が大きな転機に。千秋楽まで優勝争いに絡む大活躍で自己最多の11勝を挙げた。そして自己最高位で迎えた秋場所も見事9勝を挙げ、ついにウクライナ出身初の幕内力士誕生を確実とした。
飛躍のきっかけは、取り口の変化。これまではパワーを生かしたカチ上げや張り手など荒々しい相撲も多かったが、ここ数場所は左差し右前ミツの形を習得しつつある。教えているのは、師匠の雷親方(元小結・垣添)と、おかみの垣添栄美さんだ。獅司が「ママ」と呼ぶおかみの栄美さんは、日大相撲部出身で女子相撲の全日本選手権で何度も優勝した実績を持つ。獅司は、現役時代に左差し右前ミツを得意としていた栄美さんからその相撲を教わった。
「自分の形だから教えやすい。それがたまたまハマってよかったみたい」と話していた栄美さん。獅司も「立ち合いでまわし取れたら獅司、強い」と左右どちらでも前ミツの形に自信を得ている。師匠が得意とした突き押しと、おかみさんが得意とした前ミツを取る相撲。2人の“親方”の教えが合わさり、一つの進化を遂げた。大分県出身の雷親方にとって準ご当所となる九州場所で、獅司が幕内の土俵を沸かせていく。
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