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【コスプレ図鑑】みおまよ世界一の軌跡 課題克服のヒントは歌舞伎の「ぶっ返り」にあった!

スポニチアネックス / 2024年9月24日 11時45分

【画像・写真1枚目】「ワールドコスプレチャンピオンシップ2024」でサスケ(須佐能乎)を演じるみおし(左)とナルト(九喇嘛)を演じるまめまよ(右)

 8月3日に愛知県名古屋市で開かれたコスプレ世界一決定戦「ワールドコスプレチャンピオンシップ2024」。36カ国・地域の代表が作品の仕上がりやパフォーマンスを競った中、日本代表のコスプレパフォーマンスユニット「みおまよ」は世界的人気作品「NARUTO」で挑み、グランドチャンピオンに輝いた。日本勢にとって実に12年ぶりとなる“金メダル”を手にした勝利の裏にはどんな物語があったのか。まめまよさん、みおしさんの2人がスポニチアネックス「コスプレ図鑑」の独占インタビューでアツく語った。第1回は世界一のこだわりについてです。

 ステージに立つ前の緊張感は、2人の中に燃え上がる闘志へと変わっていた。照明に照らされたまめまよさん(うずまきナルト)とみおしさん(うちはサスケ)が迫力満点のバトルシーンを展開。クライマックスでは、2人の背中にナルトの尾獣「九喇嘛(くらま)」と、サスケによる最強の術「須佐能乎(すさのお)」を再現した巨大なバルーンが出現。祭り囃子に合わせて「だってばよ、だってばよ」と威勢のいい掛け声が飛ぶと、客席も呼応。音響、演出、客席との一体感。その全てを計算し、本番で出し切った彼女たちに万雷の拍手が送られた。

 歓喜の涙を流してから約1カ月。2人は「今もあんまり実感は湧かない」と声をそろえる。みおしさんは「目に見えてイベントのオファーがあったり、お祝いをしてもらったり、というのはあるんですが、私たちが王者!という実感はないですね」と率直な心境を吐露。まめまよさんも「優勝したらもっと自信がついて肩で風をきって歩くようになるのかと思っていたんですが、実際はそうでもなくて」と笑い「というのも、今回の勝利は制作をサポートしてくれた人たちのおかげだと感じているからです。力を貸してくださったみなさんで取れたという思いが強いからこそ、自分たち”だけ“で取れたという実感が湧かないんだと思います」と分析した。

 彼女たちは、コスプレの細部にまで情熱を注ぐことにかけては妥協を許さなかった。昨年12月から3カ月間にわたって制作した「NARUTO」のコスプレで今年3月に姫路で行われた選考会に臨んだ。「ねぶた」と名付けたバルーンや、死闘を表現するための汚れた衣装など、寝る間も惜しんで作業した作品は最高の評価を得て、日本代表の座を射止めた。

 そして、5カ月を経て迎えた決戦の舞台。世界一の称号を得るため、ミリ単位で改良を重ねた。コスプレ制作の指導を仰いだ「先生」たちにチェックしてもらい、衣装面だけで30カ所以上を修正した。

 みおし「衣装面では、姫路のステージと比べて、今回のステージは広くなり、後ろのモニターも使用できるようになりました。そのため、衣装の見栄えをさらに良くしようと工夫しました。特に大きく変わったのは、背負った“ねぶた”ですね。中にライトを仕込んで光らせるようにしました。また、ナルトとサスケの衣装はディテールを突き詰めたんです。襟の高さは数ミリ単位で調整しましたし、足が長く見えるようにズボンを直したりと、最高にこだわったと思っていた部分をさらに最高のものにするために再度こだわりました」

 演出の肝となる“ねぶた”に新たに加えたのが歌舞伎の技法。素早く衣装を変えたり、場面を華やかに切り替える「ぶっ返り」という演出方法だ。

 まめまよ「“ねぶた”にLEDを使って光らせたほか、背負うためのストラップが予選で丸見えだったので隠す工夫も施したんです。例えば、私はナルトの九喇嘛モードの衣装を背負い子に付けていました。ここに、ぶっ返りの技法を取り入れたんです。ストラップについた衣装のボタンをパッと外すと通常のナルトの上着から九喇嘛モードの衣装に変わるようにしました。実際は少し見えにくかったという反省点もありますが、チャレンジしてよかったです」

 サスケの衣装に関してストラップの部分は、須佐能乎の柄が延長されるようなデザインに。オーラをまとっているような雰囲気を持たせるため、四角く切った布を貼り付けてバルーンを背負う部分をカバーし、衣装の統一感を生み出した。

 パフォーマンス面で突き詰めたのが「没入感」だ。

 まめまよ「衣装をブラッシュアップしたことによって、パフォーマンスの没入感を日本代表選考会の時よりもさらに向上させました。具体的には、コール&レスポンスの部分に工夫を凝らし、お祭り感をより引き出すようにしたんです」

 3月の選考会では、自分たちのやりたいことを押しつけ過ぎると観客の負担になると考え、距離感を保って手拍子で盛り上げることを心がけた。この経験を経て観客も感覚をつかんだと実感し、ワールドコスプレチャンピオンシップに向けてSNSでパフォーマンス中の声出しポイントや、ペンライトの振り付けについて発信。高い熱量でサポーターを引き込んでいった。

 まめまよ「国際大会なのでおごそかな雰囲気だと思われていたし、日本人は元々なかなか歓声を上げにくい気質がある上に、新型コロナ禍を経て声をさらに出しづらい空気感もありました。そこで、くどいぐらい声を出していいんだよとアピールして、コール&レスポンスをしやすい雰囲気を醸成しました。また、音楽のサウンドチームとは打ち合わせを重ね、曲のテンポを日本予選よりゆっくりに調整してもらい、それに合わせてお客さんに声を出してもらう演出を付け加えました」

 当初しっとりと終わったエンディングも勢いよく終われるように変更。前回日本代表を務めた2018年は暗くて悲しい印象で終わってしまったパフォーマンスを反省し、疾走感や爽快感を意識。会場が沸くような明るく楽しいステージを作り上げるようにした。

 実は、こだわり過ぎないようにした演出もある。それは背景に流れる映像だ。演出の進化によって、3DやCGを駆使して映像のクリエイティブを上げるコスプレイヤーが増えており、昨年はその流れが顕著だったという。

 みおし「昨年は映像と出演者の動きがリンクするように作られていたものが多かった。その結果、コスプレを見ずに映像ばかりに目が行ってしまうことがあった。日本代表選考会の時の審査員や先生も同じようなことを言ってくれて確信に変わりました。せっかく作った衣装や全力のパフォーマンスそのものを目に焼き付けて欲しいという想いで私たちは映像を最低限にしようという方針にしました。“コスプレの大会”という根源を見失わず衣装と“ねぶた”を見てもらえるように心掛けたんです」

 国際化が加速し、世界中の腕自慢が高度な技術を競い合うようになってきたコスプレの世界。その中でみおまよは、“ねぶた”や原作に忠実なダメージの入った衣装という自分たちの“螺旋丸”を練りに練って、本番で解き放ち、世界一の称号を手にしていた。第2回は頂点を支えた魔法の言葉「だってばよ!」に隠された物語をひもといていく。

(コスプレ図鑑取材班)

《撮影ブースをプロデュース》みおまよは4月にリニューアルしたコスプレスタジオ「四谷BASE BOX」(東京都新宿区)のブースもプロデュースしている。取材に際しての撮影も同所で行った。

 スタジオは現役コスプレクリエイターが企画制作しており、3フロアで計26ブース。このうち、みおまよはアメリカンダイナー、ガレージ、スクラップ、純喫茶、ギルド酒場など7つのブースを担当した。まめまよさんはこだわりについて「テーマをそれぞれ考えてスタジオに提案しました。特に各ブースに置くギミック(小物)を探すのが大変でしたね。純喫茶のブースには実家の洋食店から譲ってもらった食品サンプルなどを飾っています」と明かした。利用料金など詳細は「GiveCos」の公式サイトで。

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