これが将棋のシン・勝利のアプローチ! 「棋士は頭脳アスリート」 岡部怜央四段も効果実感
スポニチアネックス / 2024年9月25日 5時2分
本番は練習のように、練習は本番のように。将棋に勝つための新たなアプローチ方法として今、スポーツのトップアスリート的な考え方が棋士の間でじわじわと広まっている。その名も「デュアルタスクトレーニング」。運動によって心拍や呼吸数を上昇させ、その状態で出題される詰め将棋などに答えていくやり方だ。なぜ身体に負荷をかけ、将棋のトレーニングをする必要があるのか。同トレーニングを推奨する将棋チェスアカデミー「Dream AcademiA」塾長で将棋普及指導員の早船正高さんらに話を聞いた。
確かに身体は動かないが、頭を常にフル回転させて考える将棋。エネルギー消耗が激しく、時には1局で体重が2キロ落ちることもあるほどハードな競技である。対局が進むにつれ体力は削られ、脳が酸素を必要とし息も上がる。早船さんは「そういった状況を意図的に作り練習を重ねることで、対局のパフォーマンスを向上させる狙い。勝負どころでのもうひと踏ん張りが利くようになります」と語った。
現在までに中村太地八段、青嶋未来六段、岡部怜央四段、武富礼衣女流初段らが実践している。例えば岡部。今年度20勝3敗(9月24日時点)で勝率8割超えと絶好調だ。2022年11月から始め、現在は対局の2~3日前にトレーニングの時間を取って身体を動かす。岡部は「疲れてしまうからか長考が苦手で、長くて30分くらいしか考えられなかった。それが今では1時間以上考えられるように。対局前も眠れるようになって、頭がクリアな状態で指せている」と効果を感じている。
趣味がマラソンであることも踏まえ、トレーニングは走ることが中心。足の運びをスムーズにする基礎練習となる「ドリル」「ラダー」を行った上で、陸上トラックを全力ダッシュ。運動部顔負けのメニューをこなしながら、合間に詰め将棋などをこなす。「最初は“なんでこんなことを…?”と思いましたが、5手詰めを間違えてしまったことも。集中できない中で、どうやって考えて答えを導けるかをつかむきっかけになったかも」と振り返った。さらに10キロランで1時間強だったタイムは「この前計ったら45分に。相当速くなった」と満足げ。趣味の面でも充実ぶりが伺える。
岡部を担当するトレーナーの石塚志乃さんは「ラダーやドリルは、自分の身体を思うように動かすための認知トレーニングにもなる。身体と頭の両方を同時に動かしていることになる」と解説。岡部については「元々の身体能力は高く、唯一苦手なのは腹筋や体幹。対局中の姿勢を整えるために必要な要素だと思うので、その辺りはこれから鍛えていきたい」と笑った。
身体を動かすことで脳科学的な効果もある。肩こり、腰痛、身体の節々の痛みに加え、睡眠の質による眠気なんかも日常生活の悩みの種。石塚さんは「“痛い”“眠い”といった思考があると、脳のリソースがその分取られてしまうと言われている。適切な運動によってそういった邪魔な考えをリセットでき、スッキリした気持ちで対局にも臨めると思います」と話した。
トレーニングをさらに発展させ、最近では対局時の心拍や自律神経、交感神経や副交感神経を計測する取り組みが始まった。一局の中のどんな場面で心拍が上がり、どの瞬間に頭が冴えるのか――。そういった身体のクセを見極めて、本番に活かせるような仕組みを目指している。早船さんは「棋士は頭を使う“頭脳アスリート”。自分の対局に身体のピークを持って行ける手伝いができれば」と意気込み。岡部は「これまで年間勝率7割はない。調子がいいので、今期は7割以上を目指したい」と力を込めた。 (小田切 葉月)
○…「Dream…」はフィットネス会社「アスポ」が運営。あらゆる人のコンディションを整えて元気にしていくための施策を提案する会社だ。「Dream…」ではオフィスワーカーから研究者、弁護士など、頭を使って仕事をする人にも運動の大切さを伝える活動を行っている。「頭を使って仕事をすることの最たる職業は棋士」とし、棋士へのサポートもスタート。石塚さんによると、当初は座っているだけで心拍が上昇することに驚きがあったという。「データを踏まえて、多くの人が健康に暮らすためのヒントになれば」と熱く語った。
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