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松坂大輔氏 藤平の人生変えるキューバ戦「最後の一球」

スポニチアネックス / 2024年11月26日 5時32分

キューバ戦で好投した藤平

 【平成の怪物が行く 松坂大輔の探球】本紙評論家・松坂大輔氏(44)による月1回の連載コラム「松坂大輔の探球」11月編。松坂氏は24日に幕を閉じた「第3回プレミア12」を日本、台湾でフル取材。母校・横浜高の後輩で中継ぎとして活躍した藤平尚真投手(26=楽天)の投球に目を奪われた。6試合で防御率0・00。特にセーブを挙げた17日のキューバ戦のラストピッチは、さらなる成長につながる大きな一球と評した。

 10月29日にスタートした宮崎での直前合宿から1カ月弱。この短い期間で、藤平投手は一回りも二回りも成長し、レベルアップしたように思います。自身初の侍ジャパンで、日の丸の重責を背負って熱戦に身を投じる。チームは連覇を逃しましたが凄みすら感じさせる投球はチームに欠かせないものでした。大会後、井端監督は「自信を付けた選手もいると思う」と話していました。そのうちの一人は間違いなく藤平投手でしょう。

 特に印象に残った試合は17日、台湾・天母での雨中のキューバ戦。7―6の9回に抑えとして登板し、無失点でしのいでセーブを挙げました。最後は2死満塁で8番打者をフォークで空振り三振。自分も現地で取材していましたが、精神的な強さが垣間見えた一球に本当にしびれました。

 雨が降り続き、ボールは滑ります。マウンドの土もぬかるんでいました。1死一、二塁ではフォークがすっぽ抜けて死球。それでも逃げずに、最後は150キロ超の直球を5球続けた後にカウント2―2からフォークを選択しました。落差も抜群で最高のコースに。見事に投げきりました。

 母校・横浜高の後輩。翌日、本人と話をすると「吐きそうなくらい緊張していました」と笑っていましたが、雨で滑るために最後のフォークはあえて握りを浅くしたそうです。重圧のかかる場面で冷静な判断。周りが見えていたのは、成長の証です。勝負を決めた一球であるのはもちろん、藤平投手の今後の野球人生においてもターニングポイントになるような一球だったと思います。

 150キロ台中盤の直球は威力満点で、その直球で押すことで空振りやファウルでカウントを稼げます。そして決め球のフォーク。今季は楽天で中継ぎとして高い潜在能力が開花しましたが、来季以降も非常に楽しみですね。

 今大会の侍ジャパンは31歳の源田壮亮選手が最年長。藤平選手だけではなく、この経験が次なる成長の糧になる選手は大勢いるはずです。次は26年のWBC。若き侍戦士のさらなるレベルアップに期待したいです。

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