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雄星プロデュースの新施設に詰まった、夢を更新し続ける左腕の思い

スポニチアネックス / 2024年12月1日 8時0分

オープニングセレモニーに臨む菊池(撮影・郡司 修)

 11月17日。岩手県花巻市に完成した複合野球施設「King of the Hill(KOH)」のオープニングセレモニーを取材した。エンゼルスに移籍が決まった菊池雄星投手(33)がプロデュースした屋内練習場に、驚かされた。

 施設は母校の花巻東のグラウンドのすぐ横にある。ブルペン、マシン打撃はもちろん、最新機器でのデータ解析もできる。トレーニングルームの横には、サウナやマッサージルームがあり、散髪もできる施設があった。数年前からプロジェクトを進めてきた菊池は言う。

 「本当に岩手が好きなんですね、09年に甲子園で勝ち上がるにつれて、こんなに野球で岩手が盛り上がるんだと身に染みて感じましたし、そのときはプレーヤーとして応援してもらった。力をいただいた。その気持ちが強かったので、いつか、ときが来たら何かしらの形でとはずっと思っていた。それが今回のタイミングになった」

 花巻東時代には3度、甲子園に出場。3年春は準優勝、夏はベスト4まで勝ち上がり、ドラフト1位でプロの世界に飛び込んだ。高校時代、佐々木洋監督からは、目標設定のアドバイスをもらっていた。「常に監督には、近づいたら(目標を)上げろと言われていた。いけると思った瞬間に上げなさいと。いけると思ったら夢は更新しなさいと言われていた。それは今でも僕の考え方の元になっていますね。自分の能力に制限をかけるのはいつも自分だと思うので」と、常に高みを目指す思考は今も変わらない。昨年、球速が上がったのは、目標を更新してきたからだろう。

 特別な思いもある。5年前に亡くなった父・雄治さんからかけられた言葉が、施設建設の後押しとなった。菊池は「最後に会ったときに“アメリカで活躍しても岩手の皆さんのことを大切にして”と言ってもらった。それがずっと頭の中にあった」と回想する。プロ入り後も雄治さんからは「原点を忘れないように」と、感謝の気持ちを持ち続ける大切さを教わってきた。

 メジャーで活躍しても、原点は決して忘れない。高校のすぐ横に完成した施設を見て、菊池の恩返しの本気度が、十分過ぎるほど伝わった。(川島 毅洋)

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