【大学ラグビー】関西2位の京産大が“逆襲”日本一へ 広瀬監督「われわれはチャレンジャー」

京産大LOソロモネ・フナキ（前列左）、SO辻野隼大（前列右）、広瀬佳司監督（撮影・後藤　大輝）

　京産大が初の大学日本一へ突き進む。12大会連続38度目の出場となる大学選手権は3回戦から登場。14日の初戦で、30大会ぶりに出場する青学大（関東対抗戦A5位）の挑戦を受ける。今季は関西Aリーグ4連覇を逃し、2位に甘んじた西の名門。元日本代表SOとして40キャップを誇る広瀬佳司監督（51）、共同主将を務めるロックのソロモネ・フナキ（4年＝目黒学院）、CTB辻野隼大（4年＝京都成章）が悲願の大学日本一へ熱い思いを口にした。

　選手、スタッフ全員が決意新たに大学選手権へ臨む。同校初の4連覇を目指した関西Aリーグは、開幕5連勝を飾りながら終盤に2連敗。惜しくも2位となり悔しさを味わったが、まだ戦いは終わっていない。広瀬監督は「2敗して“本当にわれわれはチャレンジャーなんだ”と切り替えて大学選手権に向かっている。こちらから仕掛ける試合ができれば」と力を込めた。

　優勝の懸かった最終節・天理大戦は強みとするモールやスクラムで優位に立てず、15―31で敗れた。「受けてしまって、やるべきことができなかった」と指揮官。だが、翌日のジュニアリーグ（主にBチームで戦うリーグ）最終節でも天理大と対戦し、Aチームに入れなかったメンバーが魂のこもったプレーを見せ、32―19で下して全勝優勝を決めた。応援のために観客席で見守った主力選手は大きな刺激を受けた。

　「気持ちの入った試合をしてくれた。“こういうラグビーをしたら勝てるよね”というのを見せてくれた」と広瀬監督は振り返る。当然、選手たちにも感じるものはあった。「京産ラグビーというのを体現していた。その試合でラグビーを終える4年生もいて気持ちで勝っていた」と辻野。そのうえで「自分たちは“応援したいと思われている人間になれているのか”と考えさせられた」という。

　昨季の主力が多く残り、開幕前から期待値の高かった今シーズン。4連覇は達成できなかったが、この屈辱を糧にもう一度奮い立ち、最後の勝負に向けて結束する時が来た。1年時から試合に出続けてきたフナキは「絶対にタフな試合になるけど、やってきたことを信じて死ぬ気で戦いたい」と覚悟を示す。

　大学選手権では過去10度、準決勝まで勝ち上がったが、一度も決勝には進んでいない。大学日本一を懸けた熱き戦い。泥くさく、ひたむきに――。京産大らしさを前面に押し出し、まだ見ぬ景色を追い求める。（西海　康平）

　◇広瀬　佳司（ひろせ・けいじ）1973年（昭48）4月16日生まれ、大阪府出身の51歳。島本、京産大を経て96年にトヨタ自動車入社。SOとして活躍し、95年から3大会連続でW杯出場。日本代表キャップ40。引退後はトヨタ自動車で12年度から監督を3季務めた。18年1月からW杯組織委員会へ出向。20年から京産大のバックスコーチを務め、21年に監督就任。

　◇ソロモネ・フナキ　2002年4月12日生まれ、トンガ出身の22歳。14歳の時、トンガでラグビーを始める。高校から来日し、目黒学院に進学。3年時に冬の花園大会出場を果たした。50メートル走6秒3。1メートル86、110キロ。ロック、フランカー、No・8。

　◇辻野　隼大　（つじの・はやた）2002年（平14）12月25日生まれ、大阪府大阪市出身の21歳。長吉西中でラグビーを始める。京都成章では3年連続で冬の花園大会に出場し、20年度の第100回大会で準優勝。50メートル走6秒1。1メートル78、87キロ。SO、CTB、FB。