働き世代のガン発症…キャリアコンサルタントに聞いたリアルな話vol.3「同じ境遇の人、患者会の存在に心が救われた」

Suits-woman.jp / 2019年5月22日 13時0分

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今は2人に1人がガンになる時代。そしてガン患者は高齢で疾患するものではなく、働き世代(AYA世代)である20~30代で発症してしまう人も年々増加傾向にあるそう。そしてAYA世代でガンを発症してしまった場合に直面する悩みは、仕事はもちろん、妊孕性(妊娠のしやすさ)の温存、そしてパートナー、親との関係性が挙げられます。3回目となる今回は、2回目の告知、そしてキャリアコンサルタントとして、告知された方のガンとの向き合い方を伺いました。

vol.1「告知を受けた時は頭が真っ白になり、何も自分の意見が言えなかった」はこちら

vol.2「腫れ物のように扱われたくない、同僚にはギリギリまで伝えることができなかった」はこちら

砂川未夏さん:キャリアコンサルタント・日本パステルホープアート協会 公認インストラクター。29歳で悪性リンパ種、39歳で乳がんを経験。 病気をなかなか受け入れられず、仕事やプライベートに悩み続けた経験から キャリアコンサルタントとなり、働く人のサードプレイスを作っている。 5年前から両立支援コンシェルジュとして活動中。

2度目の告知を受けて、乳ガンに。病院、治療方針が決まるまで誰にも言えなかった

——2回目は乳ガンになられたそうですが、それはいつですか?

39歳、キャリアコンサルタントになってから5年以上経ち、ちょうど1年前に助成金が取れて、ガン患者さんのサポートを始めていた頃でした。わかったきっかけは、胸からの出血。私は嚢胞内乳ガンでした。ちょうど血液のガン(悪性リンパ腫)に罹患してから10年、区切りと言われる寛解をむかえた後でした。それまでずっと乳がん検診も受けていて、数年間ずっと良性の嚢胞だと言われていたんです。

しかし、急に胸が腫れてきて、胸の形が少し変わっていったんです。そして翌年1月に健康診断を受けました。すぐに近くの病院に行って、診断を受けました。2回目のガン(乳ガン)は白黒ハッキリするまでは家族の誰にも言えませんでした。

——なぜ言えなかったんですか?

2度も迷惑をかけたくないって思ったんでしょうね。29歳にガンになって以来健康に気をつけて、体のためを思って、セーブして生きてきたのに。健康食品を取り入れたり、料理も手作りして、お酒もやめていたのに、なんでここまでしているのに報われないんだって。それにその時は不妊治療も続けていて、ちょうど受精卵ができて移植し、妊娠しているかどうかの結果前でした。そんな時に胸から出血して、しかも同じタイミングで生理もきてしまって、まさにダブルパンチでした。

——家族に伝えたのは告知後でしたか?

出血してるのに、検査をしてもグレーと出る。2回検査をしてもグレーで、3回目で初めてガンだと言われました。ちゃんとした結果が出るまでは言えませんでしたね。その間にもどんどん出血するから、隠すのも大変でした。

でも私の場合は、ガン患者の支援を始めている時期だったので、乳ガンの患者さんの知り合いがたくさんできていたんです。それに、いろんなところの患者会とのつながりや支援先も知っていたので、信頼できる人たちに話を聞いたり、自分で調べるなどして、今回はスムーズに行なえたんです。私から「この病院に紹介状を書いてください」と医師に依頼したところ、「うちの病院の乳ガン患者は年に10人ほどしかいない。君の場合は若いから再建も含めて大きな病院のほうがいい」と言ってくれて。複数の病院でセカンドオピニオンの時に初めて夫に言いました。医師の話から、ある程度の治療の方向性は見えていたので。両親には病院を決めてから言いました。前の告知の時は状況にのまれてしまって何もできなかったから、今回はしっかり自分で納得のいく治療方法を決めたかったんです。

患者会など、同じ境遇の人たちの意見はとても参考になったそう。

患者会、同じ境遇の人の存在が心を救ってくれた

——家族に言えた時にはメンタルは大丈夫だったんですか?

2回目の時は、心理学を学んでいたこともあって、1回目と比べてかなり心は落ち着いていました。挑む気持ちのほうが強かったです。患者会の人も応援してくれていたから。家族には言えなったけど、打ち明けられる先があったのはかなり心が安定するきっかけになりました。

あと、同時に別で知り合った人が同じく乳ガンになって、一緒に治療していく同志もできたんです。1人じゃなく、共有できる人がいたことが大きかったですね。

——セカンドオピニオンを受けて、その病院を選んだきっかけは何でしたか?

最初に検査を下病院では「おそらく部分切除だけで温存できるでしょう」と言われていました。しかし、セカンドオピニオンでは、どの病院も意見が違っていて。「進行している可能性があるため、全摘をするほうが望ましい」と言われたこともありました。

女性の象徴でもある大事なものをなくなるというのはね……。普段まったく気にしていない胸という部分なのに、なくなるかもしれないと思った時に、こんなに部分切除にこだわる自分がいたんですよね。

決めた病院は女医さんが対応してくれて、他院での治療の見立てと私の希望である「部分切除で温存したい」ことを伝えると「医師であれば、私も他の病院の先生と同じような話をすると思います。でも、あなたが温存したいんだったら最後まで付き合います。再発する可能性は上がるかもしれないが、あなたが決めることなんだから」と言ってくれて。その言葉を聞いて、すぐに「あなたに全摘してほしい」と言っていたんですよね。自分が再発するかどうかなんて誰にもわからないけれど、自分の意見を尊重してくれた医師を信じよう、生きるためにベストを尽くそう、と思ったんです。

病院を移ると検査はまた1からになります。そしてさらに詳しい検査をしていくと、がん細胞の悪性度など状態が悪いこと、それ以外にも色々な検査結果を総合して進行が早いことがわかりました。手術は1ヶ月以上先の予定でしたが、病院側の配慮で翌週に手術することになりました。

☆☆☆

——最後に、2回目の告知はキャリアコンサルタントとしての知識もあり乗り越えられたとのことですが、1回目の告知の時のようにAYA世代の人乗り越えるためにどのように過ごせばいいとかはありますか?

精神的に辛い時期は、いくつかあるのですが、そのひとつが、結果が出るまでだと思います。私もそうでしたが、あの期間は誰にも言えずに孤独だったという方が多いんですよね。その間になんとか気持ちを落ち着かせようとして、自分でネットなどで色々調べてしまうんです。私が1回目に罹患したのは2004年なので、インターネットに病気に関する具体的な情報なんてなくて、一般の方のブログをよく見ていました。でも、おそらく亡くなってしまわれたのか、途中でブログが止まっているものなどに目が入ってしまうんですよね。他にも体験談があるのに、そのことばかり気になってしまっていて。私はある時から見ることをやめました。

普段なら取捨選択できることでも、気持ちに余裕がない時は鵜呑みにしがちです。あくまでも1例であり、自分とは違うんです。病気の状態や症状はそれぞれであり、治療方針も内容も期間も、それによる副作用や効果も異なります。それを踏まえて閲覧するといいですね。ブログを読んで、いいなと思う考え方や工夫を取り入れることで、自分が乗り切るためのエネルギーにする。「10年経ちました」とか、「元気でやっています」など、ロールモデルになる人を見つけるのも1つです。ガンの治療後、元気に活躍している人はたくさんいるんですから。また、国立がん研究センターといった信頼できるサイトを閲覧することもおすすめします。

告知を受けて治療することになった場合は、自分のケースはどうなのか、1つひとつ、今の不安を解消することが大切です。治療に関してはまず、主治医など医療従事者に確認して自分の状態を正しく理解してください。私は自分の病気の状態を知ることは、はじめは怖かったです。でも、人生一回きり。知らないで後悔するより、知ることで納得して選択できることもあります。私のようなキャリアの専門家や同じ境遇の人など、自分の思っていることを吐き出せる人や場所を複数見つけてみてください。話せる場所があると心の安定は大きく変わっていきますから。

主治医や家族、友人に言えないことを同じ境遇の仲間と共有してみませんか?
次回の砂川さん主催のワークショップは6月9日(日)に開催予定!

イラストを描くことで、自分だけの時間を持つことができます。

ワークショップでは、パステルを粉状にして指やコットンでくるくると絵描いていきます。どなたでも簡単に描ける方法なので絵心がなくても大丈夫。

ゆっくりと自分の時間を持つだけで心がすっきりとしていきます。

◆6月9日(日)
時間:10:00〜13:30
場所:品川周辺のカフェ(申し込まれた方へ別途お知らせ)
費用:3000円(会場費、材料費含む)+ランチ代
公式サイト:http://mika-sunakawa.com/service/pastelworkshop
乳ガンの患者会について

2019年3月16日(土)に行われた「Pink Ring Summit(ピンクリングサミット) 2019」。毎年テーマを掲げて、乳ガン経験者に向けた様々な活動を行っている。

 20代・30代で乳ガンを体験した若年性乳ガン体験者をサポートする患者支援団体「Pink Ring」。ここでは定期的に若年性乳がんサバイバーの為のおしゃべり会やワークショップが行われています。
公式サイト:http://www.pinkring.info/

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