コロナ禍で大打撃を受けた航空業界はどうなる?ANAやカタール航空の経営状況と今後の見通しは?
Suits-woman.jp / 2020年11月7日 13時0分

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2019年12月に発生したとされている新型コロナウイルス。そこから約1年にわたり、世界全体で徐々に海外渡航が制限されていったことで、航空業界の経営に大影響が出ています。今回は、航空業界における厳しい経営状況や業績、今後の見通しについて解説します。
キャセイパシフィック傘下のキャセイドラゴンは全面的に運航停止
イギリスの格付け企業が行なう「ワールド・エアライン・アワード 2019」で第6位を獲得したキャセイパシフィック航空。しかし、そんなキャセイパシフィック航空も新型コロナウイルスによる多大な影響を受け、今年10月に事業再生の実施を発表しました。
具体策として、傘下の企業であり、かつて「香港ドラゴン航空」と呼ばれたキャセイドラゴン航空の運航を全て停止。キャセイドラゴン航空は35年間の歴史を終えることとなりました。
香港に拠点を置くキャセイパシフィックは、コロナの影響だけでなく昨年香港で起こった大規模なデモの影響も受けていました。その後少しずつ業績は回復しかけていたものの、新型コロナウイルスの流行により再び厳しい状況となったのです。
2020年上半期決算におけるキャセイパシフィック航空とキャセイドラゴン航空の2社を合わせた税引き後当期純損益は、73億6100万香港ドルの赤字。 2019年上半期の6億7,500万香港ドルの黒字と比較すると、金額の大きさが分かるはずです。
拡大路線を掲げていたANA。2021年3月期は過去最大の赤字に
2010年に日本航空(JAL)が経営破綻したことで、羽田空港の発着枠を多く割り振られたANAはこれまで拡大路線をとってきました。ところがこの拡大こそが、コロナ禍で経営をひっ迫させる原因となってしまったのです。
ANAホールディングスの片野社長は「エアライン事業の規模を一時的に小さくすることで、コロナのトンネルを抜ける」とコメント。国際線8割減や社員給与の3割削減など、2年間で4,000億円のコスト削減を目指しています。ANAに限らず、現在の航空業界においてはコスト削減が鍵となるでしょう。
過去最大の赤字を乗り切り、黒字回復できるのでしょうか。
ANAホールディングスの2021年3月期通期については、5,100億円の赤字が予想されています。過去最大規模になるであろう赤字にどう対応するのか、目が離せません。
ブリティッシュエアウェイズを抱えるIAGは旅客輸送能力95%減
日本では「英国航空」とも呼ばれる、ブリティッシュエアウェイズ。ヨーロッパの航空会社の中で高く評価されているブルティッシュエアウェイズを抱えるIAGは、2020年4~6月期の連結決算において最終損益が約2,630億円の赤字となりました。旅客輸送能力は前年同期比の95%減となっていますが、同社は今後半年の間に46%まで戻すことを目標にしています。
実は、IAG株の25%はカタール航空が保有しています。同社は「ワールド・エアライン・アワード 2019」で第1位に選ばれており、業界初となる個室タイプのビジネスクラス「Qsuite(キュースイート)」を導入したことで「ワールド・ベストビジネスクラス」でも1位を獲得しました。
カタール航空は、キャセイパシフィックの航空の株主でもあります。
そんなカタール航空が全体の4分の1の株 を保有しているIAG。状況によっては現在行われているコードシェアなどだけでなく、経営面でのさらなる連携が行なわれるかもしれません。
ロックダウンに逆戻りした国も……。航空業界の今後に注目
フランスでは、10月30日より日常生活に不可欠でないサービスの営業を停止すると決定しました。この措置は少なくとも2週間は継続するとみられており、経済への影響は避けられない見通しです。
ワクチンの利用が可能になるなど、抜本的な解決策がなければ収まる兆しの見えない新型コロナウイルス。このような状況が続く限り、航空業界への影響は免れないでしょう。
とはいえ、どこに国においても国民の生活や経済活動にとって不可欠となった飛行機の運航を守ることは非常に重要です。この苦しい時を乗り越えるべく戦っている航空業界で働く人々に、敬意を感じずにいられません。
文/山根ゆずか
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