【現地レポート】アメリカの大統領選挙が決着!? これからどうなる? 激戦区在住の日本人から見た選挙の現状~その1~
Suits-woman.jp / 2020年11月12日 18時0分

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世界中が注目したアメリカ大統領選挙。11月3日の投開票日から4日後、11月7日午前中(日本時間8日未明)にようやく民主党のジョー・バイデン氏の当選確実のニュースが発表された。
11月20日に78歳を迎えるバイデン氏は、大統領候補者としては史上最高齢。副大統領になるカマラ・ハリス氏は、女性として、黒人として、そしてアジア系としても初めての副大統領ということでも注目されている。
今回の選挙は、郵便投票の増加による開封作業遅延や、開票トラブルによる再集計など、結果が出るまでにかなりの時間がかかった。アメリカのテレビは連日選挙速報が流れ、激戦区と言われたノースカロライナ州に住む筆者も何だか毎日落ち着かない日々を送っていた。小学1年生の息子でさえも今回の大統領選挙にはかなり興味があったようで、毎日テレビに釘付け。その速報を見ながら一喜一憂する姿はまるで選挙権のある大人以上!?なんと友達とも選挙の話をしているというから驚きだった。そんな子供も夢中にさせた選挙の様子をレポートしようと思う。
なぜこんなに盛り上がる!? アメリカ大統領選の仕組み
日本と異なり、有権者が直接投票で国のトップを決めることができるアメリカ。これだけでも十分に政治に参加している意識が高まるのだろう。今回の投票は接戦となり、特に1票の重みを感じる選挙となったため、予想以上に盛り上がる展開になった。
アメリカの米大統領選の仕組みは、全50州と首都ワシントンDCの計51地域に分けられた、有権者の代表のような「選挙人」を多く獲得した方が勝利する。選挙人は人口に応じて各州と首都に割り当てられていて、ほとんどの州で獲得票数が多い方がその州の選挙人を総取りできる仕組みになっている。ちなみに選挙人は全米で538人いる中、過半数である270人を獲得した方が勝利となる。前回の大統領選では、クリントン氏の方が総得票数が200万票以上多かったのに、トランプ氏が74人も多く選挙人を獲得したことからトランプ氏が勝利したのだ。
ちなみに歴史的に見ると、共和党が強い州(レッドステート=赤い州)と、民主党が強い州(ブルーステート=青い州)があることから、それらの州の勝敗は投票前からある程度決まっていると言われている。また、比較的都市部は民主党支持者が多く、地方部は共和党が強いとも言われている。そこでこの選挙で注目されるのは、どちらに転ぶかわからない州(スウィングステート=激戦区)。つまりこの地域を制して選挙人をより多く獲得できた方が大統領選に勝利できるのだ。
開票後、各州を制した候補者の色が地図に表されていく。西海岸とニューヨーク、ワシントンなどの大都市は完全に民主党バイデン派。内陸部は比較的共和党トランプ派が多い。
たった0.2%の票差で勝敗が決まった州も!1票の重みが明らかに!!
今回の選挙での激戦州は、アリゾナ州、オハイオ州、フロリダ州、ミシガン州、ペンシルベニア州、ウィスコンシン州、ノースカロライナ州などと言われていた。専門家によって州の選択や見解は異なるが、この激戦区が勝利の鍵を握るのだ。そして結果的には、アリゾナ、ミシガン、ジョージア、ネバダ、ペンシルベニア、ウィスコンシン州などの激戦州でバイデン氏が勝利し、結果的にバイデン氏が選挙人290人を獲得して勝利ということになった。今回の選挙では、どこの州もかなりの僅差で結果が出た。ジョージア州のように、2人の候補者の獲得票率の差は0.2%という州もあったほどの接戦。ここまで激戦だった大統領選挙は今までないと言われている。
(大接戦だった激戦区の結果例)
・アリゾナ州・・・バイデン氏 49.5%/トランプ氏 48.9%
・ジョージア州・・・バイデン氏 49.5%/トランプ氏 49.3%
・ミシガン州・・・バイデン氏 50.6%/トランプ氏 47.9%
・ペンシルベニア州…バイデン氏 49.7%/トランプ氏 49.0%
・ノースカロライナ州・・・バイデン氏 48.7%/トランプ氏 50.0%
・フロリダ州・・・バイデン氏 47.8%/トランプ氏 51.2%
※11/9 CNN発表データより。まだ選挙結果が確定していない州があり、データには誤差が生じる場合があります。
バイデン派は声をあげて主張、トランプ派は沈黙の隠れファンが多かった!?
筆者がいるノースカロライナ州は共和党のトランプ氏が50.1%で優勢だった。しかし実を言うと、筆者の周りはほとんどがバイデン派。選挙会場で看板を持ってアピールしている人も、家の周りに看板を立てている人もバイデン派ばかりだった。そこで個人的には確実にバイデンが勝つだろうと予想していた。しかし蓋を開けてみるとトランプが優勢となったのだ。
この現象をあるアメリカ人に尋ねたところ、「そもそも政治の問題は交友関係や家族関係を壊しかねないと言われているんだ。時には身の危険にさらす可能性があるんだよ。トランプの場合、政策が極端なので反対派はすごく多い。だから公言することを恥に思う人もいるし、反対派に狙われることを心配に思っている人も多いんだ。でも一方でこの4年間の政策を評価している人が多いのも確か。多少やり方がハチャメチャだけど、あそこまで大胆に政策をやりきった人は少ないから、そこを認めている人も少なくない。そもそも白人のキリスト教徒はトランプ派が多いと言われているし、田舎で保守的な地域は共産党支持者が多いとも言われているんだ。だから隠れトランプ派が多く存在するんだよ……」と教えてくれた。
確かに政治の話題はとてもセンシティブな話題。そのため選挙期間であってもアメリカ人同士で深い話をしている人は多くない。一方、選挙権がない私たちのような外国人はこの選挙の話で持ちきりだ。ちなみに筆者のアメリカ人の友人は、「選挙権がないからあえて質問するけど、選挙についてどう思う?」と話を振ってきた。「普段は私は政治の話をしないんだけどね…」と前置きをされて、客観的にどう思っているか聞かれたのだ。やはりなんだかんだ言っても、公言しないだけで政治の話にはとても興味があるようだ。(その2に続く)
道路の横や施設や家の前など、芝の上に立てられることが多い候補者の看板。コレを見ると、このエリアにどちら派が多いのかがわかる。
取材・文/Chie
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