【お祭りトリビア連載5】江戸三大祭にして日本三大祭の「神田祭」は何がすごい?
TABIZINE / 2022年5月3日 21時0分
知っていそうで意外に深くは知らない日本の有名な祭りを取り上げるTABIZINEの連載。今回は、東京を代表するお祭り「神田祭」について紹介します。
Pierre Jean Durieu / Shutterstock.com
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江戸三大祭にして日本三大祭
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東京の西部に暮らしていると、あるいは古くから東京に居る人ではないと、「神田祭」と言われてもピンと来ないかもしれません。しかし、江戸三大祭と言えば、神田明神の神田祭、日枝神社の山王祭、鶴岡八幡宮の例祭(深川八幡祭り)です。
「神輿(みこし)深川、山車(だし)神田、だだっ広いが山王様」
といった言葉もあったようで、いずれも東京を代表する祭りとして今も親しまれています。
このうち、日本三大祭の1つと言われる祭りが「神田祭」です(日本三大祭を山王祭も主張しています)。
神田明神とは、千代田区外神田にある神社です。あのかいわいに盛んに出掛ける人や、あるいは周囲で働く人であれば、祭りの時のにぎわいを肌で体感しているはず。
秋葉原の中心部(中央通りなど)もみこしの巡回コース(神幸祭の巡行路)に入っているので、アニメやマンガ、オタク文化を愛好する人も「ああ、あれか」と思うかもしれません。
神田祭は天下祭り
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この神田祭は何がすごいのでしょう? 江戸三大祭に挙げられた先ほどの山王祭と同じく、神田祭は天下祭りです。
「天下祭りって何?」
と思うかもしれません。この場合の「天下」とは江戸時代の徳川家の天下で、旧暦の9月15日(新暦の10月半ば)に行われた祭りでは、庶民が江戸城内に山車やみこしを入れられたのですね。
江戸時代は完全な身分社会です。その世の中で、江戸城内に入り込める上に、将軍に直接観てもらえるとあって、江戸っ子は大いに粋がりました。その結果、山車やみこしの装飾が派手になっていきます。
一方で、赤坂にある日枝神社の山王祭も天下祭りでした。神田祭と山王祭は次第に競い合うようになり、歯止めが利かなくなったので、1681年(天和元年)に町民の負担を軽くするべく、1年おきに神田祭と山王祭が交代で祭りをするようになりました。
その名残は今も続きます。神田明神は1年ごとに本祭りと陰(かげ)祭りを開催し、神田祭が陰祭りの際には山王祭の方が盛大になるのですね。
具体的には、西暦の奇数年(丑・卯・巳・未・酉・亥の年)に神田明神で本祭りとなります。
壮観な山車が自慢であり特長だった
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この神田祭は明治以降も変化を遂げていきます。まず、1892年(明治25年)に台風被害の影響で日程が春に変わりました。新暦の5月15日前後が神田祭となりました。
また、江戸時代末期に36基も引き回されたと言われる山車も姿を消していきます。
1884年(明治17年)には46基、1887年(明治20年)には40基など、山車が復活した時期もあったようですが、不景気があり電線架線があり、山車が引き回されるのではなく、各町に備え付けられるだけになります。
さらに、大正時代に入り関東大震災で壊滅的な被害を受けた経緯もあって、みこしが中心(神輿渡御祭)となります。
その流れを受けて現代の神田祭では、だいこく様・えびす様・まさかど様(平将門)の三柱の御霊を入れた大小200程度のみこしが、江戸っ子たちの掛け声とともに巡行します。
しかし歴史を振り返ってみると、「神輿(みこし)深川、山車(だし)神田、だだっ広いが山王様」と言われたように、壮観な山車がもともとは自慢であり特長だったのですね。
将軍に自分を見てもらえる晴れの舞台
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さらに現代は、神輿渡御祭(みこしとぎょさい)が神幸祭(しんこうさい)の呼び名になって、日程の制限も受けるようになりました。
都心部における自動車など交通事情を考え、神田や大手町、丸の内、日本橋など東京のど真ん中の主要道路を占拠する大掛かりな巡行=神幸祭(しんこうさい)も今は1日と限られています。
それでも、江戸時代から続く大きな祭りに、例えば秋葉原の街が封鎖され、路上(中央通り)が大勢の人でごったがえす光景は独特の迫力があります。
まがりなりにも「近代国家」である日本が、超越的な存在の神様を乗せたみこしの巡行に対して、首都の大道路を開放する事実は、やはり特別な気がしますよね。
江戸の三大祭であり、日本三大祭の1つとも言われる神田祭のにぎやかさ、威勢の良さは、歌舞伎にもなっています。
ちなみに、2022年(令和4年)は偶数の年なので陰祭です。東京ではなく遠方に暮らしている人は、来年を目掛けて今から予定を組んでおくといいかもしれませんね。
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[参考]
※ 神田祭特設サイト
※ 『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)
※ 精選版 日本国語大辞典
※ ブリタニカ国際大百科事典
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