時速194キロは「危険運転」判決 「視野がどんどん狭くなって…」 現役ラリードライバーが指摘する“危険性”【news23】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月29日 12時9分
時速194キロで死亡事故を起こした男の裁判。大分地裁は「過失」ではなくより重い「危険運転」と認定し、懲役8年の判決を言い渡しました。現役のラリードライバーが指摘する「194キロ」の危険性とは。
時速194キロ「危険運転」求めた遺族 3年8か月の闘い
小柳さんの姉・長文恵さん
「私が最初に闘ってきた危険運転致死罪を認められること、きょう、そういった判決になったことは、とても大きなことだと思う」
裁判をこう振り返った遺族。その「闘い」は、3年8か月に及びました。
原型をとどめないほど大破した車。亡くなった小柳憲さん(当時50歳)が運転していた車です。
事故が起きたのは2021年2月9日の夜。大分市内の県道を右折しようとした小柳さんの車に、時速194キロ、法定速度の3倍を超えるスピードを出していた当時19歳の男の車が衝突しました。
小柳さんの姉・長文恵さん
「運転席のシートベルトがちぎれ、体が車外へ放り出されました」
ラリードライバー語る“時速194キロ”「ブレーキを踏もうがハンドルを切ろうが、言うこときかない」
この映像は、早送りで再現した事故現場を時速194キロで走る映像。
現役のラリードライバーは…
ラリードライバー 新井敏弘さん
「一般の車両は(時速)100キロを超えた時点で、一般道だと跳ねたり飛んだりしてしまう。タイヤが接地していないので、ブレーキを踏もうがハンドルを切ろうが、全然言うことはきかないと思う」
194キロで走行した際の視野については・・・
ラリードライバー 新井敏弘さん
「どんどん(視野が)狭くなって、このくらいの感じでしか見えていない。車や人がどこから出てくるかわからない状態で、その速度を出すのはすごく怖い」
この事故で争点となったのは、最長で懲役20年の「危険運転致死」か、懲役7年の「過失運転致死」の罪、どちらに該当するかでした。
大分地検は当初、より刑が軽い「過失運転致死」の罪で男を起訴しました。
小柳さんの姉・長文恵さん
「こんな速度じゃなければ、あのような悲惨な事故にはならなかったと思うし、これは何としてでも危険運転(致死罪)に」
遺族らは起訴内容の変更を求め署名活動を行い、2万8000人分を集めて提出。大分地検は2年前、刑罰の重い「危険運転致死」の罪に切り替えて起訴しました。
11月に始まった裁判。弁護側は「車は直進走行し、制御できていた」などと”過失運転”の適用を求め、”危険運転”と主張する検察側と対立しました。
なぜ194キロものスピードを出したのか、被告人質問で男は…
被告の男
「加速する感覚を楽しんでいた」
28日の判決で、裁判長は「ハンドルやブレーキのわずかなミスによって、事故を起こす危険性が認められる速度といえる」として、「危険運転」に当たると判断しました。
一方、検察側が「車の通行を妨害する目的があった」と主張した部分については認めず、懲役8年の判決を言い渡しました。
判決を受けて遺族は…
小柳さんの姉・長文恵さん
「今後、抑止にならなければいけない点では、量刑はこれでいいのかと。署名活動をして訴因変更をしなければというような、遺族が家族を失った悲しみ以上にまた苦しい思いをする、そういったことのない裁判になっていかなければならないと思う」
「危険運転」の適用をめぐっては、当初、「過失」とみなされるケースが相次いでいて、法務省の有識者検討会が数値の基準を設けることなどを提案しています。
時速194キロ「危険運転」と認定 適用の見直し検討も
小川彩佳キャスター:
法務省が法改正に向けた検討を進める中で、今回は「危険運転」が認められた判決が出ました。
株式会社QuizKnock CEO 伊沢拓司さん:
法解釈は、これまでの分も尊重されるところはあるとは思いますが、今回のケースに関しては個人的には「危険」と判断される基準。これまでのケースが非常に一般的な感覚とずれていた部分があるのかなと思うので、納得の判決だったかなと個人的には思ってます。
やはり、これだけ訴因変更するのに手間がかかる。しかも、それを遺族側がやらなければならないという状態はやはりおかしいなとは思いますし、もちろん適切な議論を重ねた上で、法務省なり国の方でしっかりとルールを変えていくということが起こることが、これからの遺族を助けますし、そもそもこの判決が出たということが今、裁判中のいろんな方を助けるケースにもなるのかなと思います。
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<プロフィール>
伊沢拓司さん
株式会社QuizKnock CEO
東京大学経済学部卒 クイズプレーヤーとして活躍中
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