「評価経済社会」への移行期における併存する価値観と、議論することの不毛さ【湯川】

TECH WAVE / 2012年2月8日 10時0分


[読了時間:3分]

 情報化社会になれば人々を動かす力、社会を動かす力が変化する、という考え方がある。簡単に言ってしまえば、これまでは金銭がモノを言う社会だったが、これからは金銭よりも共感がモノを言う社会になり、多くの人がお金持ちを目指すのではなく、評価される人、信頼される人を目指すようになる、という予測だ。



 わたしが最初にこの考え方に触れたのは、情報社会学の権威、公文俊平氏が2004年に出した「情報社会学序説」という本だった。



 最近では、岡田斗司夫氏の著書「評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている」が同様の主張を行なっている。



 特に岡田氏の本は、価値観が大きく変わるという部分に焦点を当てている。



 確かに価値観は、これまでの貨幣経済社会と、これからの評価経済社会では大きく異なる。貨幣経済社会の中では、経済成長を目指すということが「正しい」という価値観があった。テクノロジーは生活を豊かにするという価値観があった。



 ところが評価経済社会では、経済成長が必ずしも正しいという価値観ではない。それぞれの利潤の追求が社会にとってプラスになる、という価値観ではなくなるわけだ。



 貨幣資本を多く持つ人が力を持つ社会ではなく、「評価」資本を多く持つ人が力を持つ社会になり、岡田氏によると「今後は評価ポイントで謝礼するようになり、評価ポイントで謝礼できない場合にだけ『評価で払えなくてごめんね。代わりに貨幣で支払うね』という形になる」という。



 先にお知らせしたように、わたしが主催するTechWave塾という少人数勉強会で、岡田斗司夫氏をゲストに迎え、ニコニコ動画とustreamで議論の様子を生中継した。6000人以上が視聴したようだが、わたし自身、そのときのインパクトが大き過ぎて、今だに考えがまとまっていない。いち早く新しい価値観に慣れ、新しい社会に沿った仕組み作りに参画したいと考えているのだが、異なる価値観が併存する中で、自分自身の中でどう折り合いをつけていいのか分からない状態が続いているのだ。



 勉強会の参加者には、企業経営者もいた。利潤追求が目的の企業を経営する一方で、「利潤追求がダサい」「お金を受け取れば、評価を受け取れなくて損をする」という価値観とどう折り合いをつければいいというのだろうか。



 岡田氏によると、日本は先進国の中でも社会が均一化されているほうなので、世界でも最も早く評価経済社会への移行が進む可能性があるという。つまり世界を見渡しても先行事例がなく、自分たちで新しい価値観に基づく社会の仕組みを作っていかなければならないわけだ。

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