評価経済を理解する樋渡啓祐・武雄市長というスタートアップ【湯川】

TECH WAVE / 2012年9月27日 11時0分


[読了時間:4分]

 9月中旬に実施した西日本横断講演ツアーで数多くの出会いに恵まれたが、中でもわたしが最もインパクトを受けたのが佐賀県武雄市長の樋渡啓祐氏だった。インターネットの普及で社会やビジネスのメカニズムが大きく変化する中で、同氏はその新しいメカニズムに最も適した方法で時代の波を乗りこなしていた。武雄市の図書館の運営をTSUTAYAに任せることができたのもそのメカニズムを理解していたからだし、TSUTAYAに運営を任せたことでさらなる注目を集め、さらなる影響力を手にしている。情報化社会の中で今後どのような人物や組織が社会を動かしていくことになるのかを理解するためにも、樋渡啓祐という先行事例をケーススタディとして取り上げてみたいと思う。

国会議員にならないで日本を変えようとする政治家たち





 まずは岡田斗司夫氏が執筆した「評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている

」という書籍の考え方をベースに、樋渡啓祐氏の行動を見てみたい。岡田斗司夫氏は「評価」が「貨幣」の上位概念になり、「貨幣」を集めるより「評価」を集めるほうが社会を動かせるようになると主張する。



 金権政治と呼ばれた時代にはカネをばらまくことで票を集め社会を動かせたが、衣食住がある程度足りて人の心はカネで動かなくなった。一方でネットが普及し、マスコミに頼らなくても個人が自分の力で「評価」を集めることができるようになり、この「評価」で社会を動かせるようになった。簡単に言ってしまえば、そういうような話だ。



 岡田斗司夫氏とは今年1月にいろいろお話をさせていただいた。その際に岡田氏は、大阪の橋下徹氏が府知事のあとに大阪市長になったことに触れ、「橋下氏は勝てるところでしか戦わない。勝つことで評価を得て、日本社会全体への影響力を手にしている。これは橋下氏が、評価経済を理解している証拠。ほかの政治家は小さな自治体の首長から始めて最後に国会議員を目指す。時代の変化を理解しない政治家が束になっても、橋下氏には太刀打ちできない」と語っていた。



 樋渡啓祐氏は、橋下氏同様に時代の変化を理解する政治家の一人なのだと思う。樋渡氏がいろいろと斬新な施策を打てるようになったのは「インターネットが普及したからこそ」と樋渡氏は言う。



 インターネットが普及する前は、人口5万人の九州の小都市の市長が何をしたって全国紙に掲載される機会はほとんどなかった。しかしネット上で話題になることで大手マスコミでさえ武雄市に注目するようになった。「今、武雄市は全国的な注目を集め、何をしてもニュースになる。非常にありがたい状況です」。

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