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大谷翔平が米国人まで幸せにする理由「毎日が歴史だ」 熱狂的右翼席で見上げた放物線の美しさ

THE ANSWER / 2024年9月27日 6時33分

22日に劇的な同点53号を放ち、味方ベンチに笑顔を見せた大谷翔平【写真:Getty Images】

■右翼席から見た大谷翔平の本塁打

 米大リーグ・ドジャースの大谷翔平投手は25日(日本時間26日)、本拠地パドレス戦に「1番・DH」で出場し、決勝打を含む3打数2安打2打点、1盗塁の活躍で4-3の勝利に導いた。史上最多記録を「53本塁打&56盗塁」に伸ばし、マジック「2」が再点灯。本塁打こそなかったが、2本の適時打でチームを乗せた。

 本拠地6連戦のうち4試合目までに2本塁打。記者はこの2本を右翼席から見届けた。なぜ、大谷の本塁打は人を幸せにするのか。美しいアーチが人の心を揺さぶる瞬間に立ち会い、現地の米ファンに感動する理由を聞いた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

 ◇ ◇ ◇

「元気をもらっていますよ。ホームランを打っている日はみんなが幸せになるわけなので、それだけでも十分な影響力だと思います」

 17日のマイアミ。マーリンズ戦で48号を放った際、一塁側内野席で観戦していた車いすテニ スの国枝慎吾さんが声を弾ませていた。19日に衝撃の1試合3発で「51-51」に到達し、凱旋した本拠地6連戦。真横から見た大谷のアーチは、やはり美しかった。

 客席の背番号は「17」だらけ。日本人だけじゃない。スーパースターが打席に向かうと、一斉にスマホかグラブを構える外野席。子どもはもちろん、大人たちも野球少年に戻っていた。

 20日の52号。乾いた打球音の直後、ボールが爆速で飛んでいく。内野席寄りの右翼席から見上げ、周囲のファンは確信。次々と両腕が上がり、球場全体へ波のように広がっていった。ボールが中堅左に消えた瞬間、自分の声は1メートル先にも届かない。

 22日のデーゲームも同じ位置から見上げた。カリフォルニアの青空に映える白球。5万730人がボールの行方だけを追い、ほんの一瞬だけ静寂ができた。4-5の9回先頭から劇的な同点53号。続くベッツのサヨナラ弾に客席はパニックに近い盛り上がりだった。

 数百万とも、数千万とも言われるスーパースターのホームランボール。ゲットした2人はともに「絶対に売らない!」と宝物を握りしめていた。

■米ファンに聞く、大谷の本塁打が人を幸せにする理由「この年でこんな想いを…」

 今季53個の宝物を放り込んだ大谷。打席が回ると球場職員も仕事を手放し、そっちのけでグラウンドを見つめる。なぜ、大谷の本塁打は人を幸せにするのか。右翼席の米ファンに聞いた答えはシンプル。ドジャースキャップを被ったオジサンは捲し立てた。

「誰も見たことがないからだろ。毎日のように歴史をつくっている。そんなヤツはいない。だから、みんなが見たがるんだ」

 背番号17、ファン歴30年という70代のおばあちゃんも笑っていた。

「誰もできなかったことを見るのは爽快なのよ。この年になって、まだこんな想いをさせてもらえるなんてね。あと、彼は7億ドルも持っているんだから。フフフ」

 帰りのタクシー待ちエリア。日本から来たキャピキャピの若い女子の声が聞こえてきた。

「大谷くんのは『届きそう?』じゃなくて、『カーンッ!』って感じ。来てよかったぁ」

 ホームランを打った日はみんなが幸せになる。理由はそれぞれあるだろう。国枝さんは「アメリカ人も(17番を)着ているのが凄まじい」と表現していた。それが同じ日本人。一つの繋がりだけで、また誇らしくもなる。

○…25日(同26日)の大谷は2-2に追いついた4回2死一、二塁、一時勝ち越しとなる右翼フェンス直撃の適時二塁打。3-3の6回2死一、二塁でも中前に決勝打を放った。すかさず二盗を決め、2001年イチローに並ぶ日本人最多のシーズン56盗塁に。試合後は「ファンの盛り上がり、チームの士気も高いと思う」と表現した。マジックは2。26日(同27日)のパドレス戦に勝利すれば地区優勝が決まる。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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