文豪・森鴎外は元祖キラキラネームだった!? 子どもの名前がすごいことに‥‥‥

TOCANA / 2013年10月28日 19時33分

■森鷗外の子どもたち

 キラキラネームといえば、DQN親たちによる珍奇な名前のように思われているが、かの文豪・森鷗外の子どもたちの名前もかなり変わったものだったらしい。

 長男からそれぞれ「於菟・茉莉・杏奴・不律・類」である。

 強烈だ...。

 キラキラネームの多分にもれず、まず読み方が分からない。そして、なぜこんな珍奇な名前をつけてしまったのか、命名の意図がまったく推測できない。

 ......というわけで調べてみたところ、読み方は於菟(おと)、茉莉(まり)、杏奴(あんぬ)、不律(ふりつ)、類(るい)とのこと。

 典型的な当て字である。

■キラキラネームをつけた理由

 読み方はわかった。では命名の意図は? どんな気持ちで子どもたちにこんな名前をつけたのだろう?

 こちらは鷗外の苦い留学体験から来ているらしい。鷗外は青年期に医学を学ぶためドイツに留学しているが、留学先で自分の本名・林太郎(りんたろう)を正確に発音してもらうことができず、そうとう苦労したらしいのだ。
 
 そんな鷗外は国際社会になる将来を見通して、子どもたちに欧米風の名前をつけたとのこと。

 名前をアルファベットに変換すると、次のようになる。

 於菟(おと、Otto)、茉莉(まり、Marie)、杏奴(あんぬ、Anne)、不律(ふりつ、Fritz)、類(るい、Louis)。

 ちなみに鷗外の命名法は、孫にも受け継がれていて、孫たちの名前はそれぞれ、真章(まくす、Max)、富(とむ、Tom)、礼於(れお、Leo)、樊須(はんす、Hans)、常治(じょうじ、George)、爵(じゃく、Jacques)、亨(とおる、Thor)、五百(いお、Io)である。

 単なる当て字でしかなのに、ここまで徹底されると壮観だ。キラキラネームとはいえ、さすが文豪である。

■案外、家庭的だった文豪の生活

 険しい表情に凛々しい口ひげと強面のイメージの強い鷗外だが、家庭ではかなりの子煩悩だったようだ。キラキラネームも子どもたちに対する独特の愛情表現だったのだろう。

 次女の杏奴(あんぬ)は父・鷗外のことを次のように回想している。
 
 「毎朝起きると、私と弟は父の部屋へ行って眼薬をさしてもらった。父の膝の上に頭をのせて寝転ぶと、父は軟い手でそおっと私の瞼を開けて、「象の眼、鯨の眼」一つずつ言って笑いながら薬をさしてくれた。私の眼が細いのでそういったらしい。
 
 そうしておいて、懐から畳んだ塵紙を出して丁寧に眼を圧えてくれた。私は濡れた紙に穴を開けてそこから父を覗いたりしてふざけた」(『晩年の父』岩波書店)より。
 
 三男・類の鷗外に関する思い出もまた温かい。

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