サイボーグ精子が開発される! 受精を超えた新たな用途とは?

tocana / 2013年12月20日 20時5分

写真

 以前トカナでは、ゴキブリを世界初の一般家庭用サイボーグへと改造するためのキットが、この秋より米国で販売開始となった話題についてお届けした。しかし今月12日、英「Daily Mail」を始めとする複数のメディアによって、ドイツの研究者たちが、次はなんと「精子のサイボーグ化」に成功したとの情報がもたらされた。どうやら世界的なトレンドとして、サイボーグに関する研究は私たちの想像以上に速いスピードで進行しているようだ。この「精子のサイボーグ化」の衝撃的内容と、その利用法とは......。

 「精子のサイボーグ化」に成功したのは、独ドレスデンInstitute for Integrative Nanosciencesのオリバー・シュミット博士だ。まず博士は、長さ50ミクロン、直径5~8ミクロン(1ミクロン=0.001mm)の金属製ナノチューブ(極めて小さな筒)を開発。それらを牛の精子を泳がせた液体の中へと投入した。次に博士は、1匹の精子をナノチューブ内へと誘い込んだところで、チューブの端を細くし、逃げることができないよう閉じ込める。すると精子の頭の部分にはナノチューブが装着された状態となり、チューブ後部から少しだけ飛び出した尻尾の部分は、スクリューのような働きをするようになる。このようにして「精子のサイボーグ化」が実現されるという。

 サイボーグ化した精子は、磁気を用いた遠隔操作によって、思い通りの方向へと移動させることが可能となるようだ。シュミット博士によると、「最も困難だったのは、精子の機動性を維持するために、チューブのサイズを精子よりもほんの少しだけ大きいサイズに調整しなければならなかった点でした」とのこと。

 また、シュミット博士はこの「サイボーグ化した精子」の用途として、「もちろん、人間の精子を磁気によって卵子へと導き、受精のための手助けを行う、という用途が最も理にかなうように思えます」としつつも、「できることはそれだけではないのです」と、将来の驚くべき構想についても解説している。

 なんと「サイボーグ化した精子」は、磁気によって導くことで、人体の隅々へと様々な物質を運ぶために適しているというのだ。シュミット博士は、将来この「サイボーグ化した精子」が、病気を患った人間の体内で、病原部分へと薬を届けるために用いられることを構想しているようだ。博士によると、精子細胞は外部動力源を持たずに活動できるため、体を必要以上に傷つけることがなく、前述のような仕事をさせる上では理想的な担い手であるらしい。博士は「この技術が、今のままで人間の精子にも応用可能なものであるかは、まだ証明できていません。しかし、サイボーグ精子を子宮内に投入して、卵子のある場所へと磁気で導こうというのは、数ある可能性の一つにすぎないのです」と語り、「サイボーグ化した精子」の可能性について夢を膨らませている。

 「精子鞭毛を動力とするミクロ生体ロボの開発」というタイトルのシュミット博士の論文は、現在、学術誌「Advanced Materials」上で読むことができるようだ。将来、薬を背負ったサイボーグ精子が、我々の体の隅々へとピンポイントで薬を運んでくれる、そんな治療法が行われる時代がやってくるのだろうか。
(スポンジ保父)

tocana

トピックスRSS

ランキング