顔が半分になった男 奇病・血管肉腫の恐怖とは?=イギリス

tocana / 2014年1月5日 18時0分

 人は、健康であるときはそのありがたみを忘れてしまうものですが、健康であることほど尊いことはありません。もし重い病気にかかってしまうと、それだけで人生を一変させてしまいます。特にそれが外見上の大きな変化を引き起こすものであると、病状の良し悪しによらず、通常の生活が送りにくくなってしまいます。まさにそのような過酷な運命に翻弄されながらも病気に立ち向かう男性の話が、12月19日に英「DailyMail」で報じられました。

 レイモンド・マーティンさんはニューキャッスルに住む、二人のひ孫をもつ63歳の男性です。顔面に希少ながんである血管肉腫を発症し、その治療のために顔の半分を失いました。血管肉腫とは、頭や首、頭皮などに発生する珍しいがんで、特に高齢で発症する傾向があります。治療は進行状況にもよりますが、基本的には外科手術により該当組織を摘出し、再発時や広範囲への治療を行う際は放射線治療や化学療法を行います。

 彼は最初、頬に斑点があることに気が付きましたが、それが彼の人生を左右する深刻な病気であることなど思いもしませんでした。

 「最初は本当にただの斑点だったんだ、全然気にはしなかったよ。だけど、だんだん広がっていって、かかりつけの医者に行ってみたら発疹か感染症だろうということだったので、抗生物質をもらったんだ。」

 しかし抗生物質は効かず症状が悪化したので、ニューキャッスルにあるロイヤルヴィクトリア病院で皮膚生検を行ったところ、専門医が、彼の顔の大部分が珍しいがんに冒されていることを突き止めます。そしてすぐに腫瘍を取り除き、その部分に太ももから採取した皮膚を移植しました、それ以外に命が助かる術がなかったからです。手術は12時間にも及ぶものでした。そして術後も、彼は別の苦しみを感じることになります。

 「がんと言われるなんて想像もしてなかったよ。その手術を受けなきゃいけないことはわかったけど、自分の外見がどう変わるかなんてわからなかった。だから病院から帰ってからもしばらくは鏡を見たくなかったんだ。初めて自分の顔をみたときは、包帯を巻いているような自分の顔が怖くてね。ショックだったし、周りの人の反応に対してどうすればいいのかわからず、数ヶ月は外に出られなかった。寝室でテレビを見て過ごすことが多くなったよ」

 手術によって腫瘍を全て取り除き、マーティンさんは残ったがん細胞を死滅させるために集中的な化学療法を受け、経過は良好と見られていました。しかし六ヶ月後、血管肉腫が再発してしまいます。彼は地域のがん専門の医療機関でさらなる治療をすることとなり、機能しなくなった鼻の再建手術を含め合計6回手術を受けましたが、今後も手術をすることが必要な状況です。

 ただ専門医は、血管肉腫は体内で進行することが多いのに、今回のケースでは体表で発達したため容易に発見でき、運が良かったと言っています。そしてマーティンさんも、そのおかげですぐに治療をしてもらえたことから、自身を幸運であったと思うようになりました。

 病気は完治しそうになく、彼は進行を遅らせるために週一回の化学療法を受け続けています。がんが目の方へ広がり右目を失う恐れがあるなかで、「生き抜いて幸せになるんだ」と、強い意志を持っています。ショッキングな外見となってしまいましたが、62歳の妻アリスさんら家族や、がん患者のための慈善団体から援助を受け、前向きに生きる彼の姿は、人間の生命力を象徴していると言えるでしょう。

 ※血管肉腫は早期の発見と治療が重要となるので、高齢者の頭部や顔に紅斑が見受けられるようになった際には、皮膚科の受診を検討してください。
(杉田彬)

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