ギャー!生首がゴロリッ 実話が元になった伝説の【封印映画】『食人大統領アミン』悪行三昧の内容とは?

tocana / 2014年1月5日 20時0分

――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・天野ミチヒロが、ツッコミどころ満載の封印映画をメッタ斬り!

【今回の映画 『アフリカ残酷物語 食人大統領アミン』】

 あみんの『待つわ』が大ヒットした1982年当時、こう思ったのは私だけではあるまい。「"あみん"って、ウガンダの残虐大統領の名前だが、彼女らは知らないのか?」

 さだまさしファンだった岡村孝子は、『パンプキン・パイとシナモン・ティー』という、いかにも女子が好みそうなオシャレワードが並んだ彼の楽曲に出てくる「安眠(あみん)」という喫茶店名をいたく気に入り、自分達のデュオ名に決めたという。が、当時の男子なら「あみん」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、アントニオ猪木の異種格闘技戦(猪木がプロレス以外の格闘家と戦う)時期において、1979年に対戦相手として予定されていた東アフリカの元ボクシング・チャンピオンで、「黒いヒトラー」と呼ばれていたウガンダのアミン大統領だ。そして1984年、そのアミンを描いた『アフリカ残酷物語 食人大統領アミン』が日本で公開された。

 この映画には、「ギャー! 生首が冷蔵庫にゴロリ」「異常性欲! 白人と黒人を同時に」「不貞妻の両腕を切断!」などの「10大残酷シーン」なるコピーで宣伝されたが、内容はスプラッター映画ではない。確かに猟奇的なシーンはコピーに偽りなく存在するのだが、ホラー色は薄い。実はこの作品、『RISE AND FALL OF IDI AMIN』という原題からわかるように、70年代のウガンダを独裁したイディ・アミンの栄光と没落を描いた普通のノンフィクションである。アミンを告発する本を執筆してウガンダ当局に不当監禁された英国記者の協力を得て、大統領を徹底的にコキ下ろした作品なのだが、日本での公開では、当時ヒットした『食人族』('83年・イタリア)に便乗した配給会社の戦略による邦題と宣伝だったのだ。


■ノンフィクションとは思えぬ残酷内容

 とはいえ、アミンの悪行三昧を延々と見せられると気分が悪くなることは確か。アミンは8年に渡って30万人の他民族を虐殺し、その死体をナイル川に流してワニの餌にした。またジャイアンの100倍傍若無人なアミンは、自国の裁判長や銀行総裁が逆らえば即殺し、有能な人材を無駄に失っていく。不貞を働いた妻も例外なく処刑され、「もう死んでいますよ」と嫌がる医師に死体の手足を糸ノコで切断させ、「悪いお母さんはこうなるんだ!」とその死体を子ども達に見せる(絶対トラウマ)。そしてタイトルの「人食い」とは、劇中で政敵の遺体の一部をナイフで削いで口に入れるのだ。これは普段の彼は菜食主義者なのだが、原始呪術を使う未開部族出身の名残ということだ。
 さらにアミンは、パーティで美女を見つければ、一緒にいたカレシは部下にボコボコにさせ、部屋に連れ込みレイプ(女は舌噛んで自害)。ラリー参加中に美少女が道端にいれば、同乗させていた息子を下ろし、その娘を車中に連れ込み「ピチピチしてイイ女だ」とカーセックス。そのまま娘は問答無用で第5夫人にさせられ、40代後半のデブオヤジと17歳少女という、どう見ても親子にしか見えない挙式の2ショットが痛すぎる。

 その後アミンは国内外の顰蹙を買い1979年に失脚し、亡命先のサウジアラビアで2003年に病死した。偶然にもその年、岡村孝子と元近鉄バッファローズの4番バッター・石井浩郎が離婚し、前夫は記者会見でこう述べた。

「人魚を釣り上げたと思ったら、人食い鮫だった」。

 いわゆる「性格の不一致」ってヤツだろうが、皮肉にもここで「あみん」と「アミン」は、「人食い」で一致することになる......。当のさだまさしはアミン大統領を知っていて歌詞に取り入れたというから、諸悪の根源は彼(笑)? 物事に対するアンテナの男女差と捉えたいが、もし岡村孝子が猪木のファンだったら、またこの映画を公開当時に観ていたら(たぶん観てない)、違うデュオ名に変更していたかもしれない。あみんファンの皆様、たいへん失礼しました。
(天野ミチヒロ)

tocana

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