憑依、怪しい足音、近親相姦、行方不明の頭部... ドイツ史上最大の未解決事件「ヒンターカイフェック事件」

tocana / 2014年1月12日 23時0分

 いまだ解決の光明を得ることのない悲惨な事件は世界に数あれども、特にドイツの「ヒンターカイフェック事件」は、その謎の多さと悲惨さで、発生から100年近くが経った今でも様々な憶測を呼んでいる。このドイツ史上最大の未解決事件の概要と、その後の捜査の経緯についてお届けしよう。

 1922年3月31日、ヴァイマル共和制下のドイツ。ミュンヘンから70kmほど北へ向かった場所に位置する、ヒンターカイフェックという集落のある農場で、おぞましい殺人事件が発生する。この農場の住人は、経営者であるアンドレアス・グルーバー(63)と、妻のツェツィリア(72)、そして二人の娘で未亡人のヴィクトリア(35)、その子どもであるツェツィリア(7)とヨーゼフ(2)、さらに使用人マリア・バウンガルトナー(45)の計6人であったが、彼ら全員が何者かの手によって惨殺されたのだ。

 彼らの死亡が確認されたのは、4月4日のことだ。一家の姿を見かけないことを不審に思った近隣住民が農場を訪れ、納屋と母屋で全員の遺体を発見したのだった。発見者たちによると、農場内の戸はすべて施錠されており、それを蹴破って中に入るしかなかったという。納屋で発見されたのは、経営者夫妻とその娘、さらに孫のツェツィリアの4名の遺体であり、孫のヨーゼフと使用人の遺体はそれぞれ別の部屋で発見された。

 翌日、ミュンヘン警察の捜査員が現場に到着し、事件の捜査が開始される。検視の結果、6人の殺害に使われた凶器は「つるはし」である可能性が高まった。しかし、警察の捜査が進むほどに謎が謎を呼び、事件の奇怪さを知った当時のドイツ国民を震撼させたのだった。


■何者かが農場に潜んでいたのか?

 まず、事件発生の数日前、主人であるアンドレアスは、近隣住民に対して、農場内で不審な足跡を発見したことを話していた。雪上の足跡は、何者かが周囲の森から農場にやってきたことを示していたが、農場から出てゆく足跡は見つからなかった。彼はまた、農場内に心当たりのない新聞紙が落ちていたり、屋根裏から足音がすること、さらに鍵がいくつか紛失していることも気にかけていたという。実際に検視の結果、納屋の屋根裏には、足音が目立たないようにするための藁が敷かれており、農場の様子を一望するために、屋根瓦の一部分が外されていたことも判明している。


■犯人は事件後も農場に居座った?

 犯人が単独犯であるか、複数犯であるかは判明していないが、犯行後の何日かの間、農場に留まっていたと考えられている。事件後、何者かの手で農場の家畜にエサが与えられていたり、台所で食事を取った痕跡が残っていたのだ。しかし農場の金品に手はつけられておらず、犯人の目的は強盗でなかったと考えられている。

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