銃創をわずか15秒で塞ぐ注射器が誕生!! 米軍が開発に参加した、「XStat」のスゴさとは?

tocana / 2014年2月7日 18時30分

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 またひとつ、米軍が開発に参加した最新ツールが世に生み出された。といっても、今回は人を傷つけるためのものではなく、命を救うための器具だ。米国の科学サイト、「Popular Science」が今月3日に報じたところによると、現在その器具は、米国食品医薬品局(FDA)による認可を待つ段階にあるという。

 医療技術関連会社RevMedx社が、米軍からの支援を受けて完成させたのは、「XStat」と呼ばれる医療器具だ。この器具は、戦場において銃弾を受けてしまった兵士の傷を、一時的に手当するために開発されたという。

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■今までの応急処置は......

 従来、銃弾で傷付いた兵士を手当てする際には、多くの困難が伴っていた。大量に流れ出る血液を止める唯一の方法は、傷口いっぱいにガーゼを詰め込むこととされているが、時に13センチほどの深さにまで至る銃創では、失敗してしまい、何度も入れ直さなければならないケースも多かったという。またこの手当ての方法は、中世の時代から行われてきたことと基本的に何ら変わりなく、現代においても、戦場における兵士の死因は、出血多量によるものが多くを占めてきた。しかし今回の「XStat」は、このような従来からの応急処置の方法に取って代わる、画期的な器具であるというのだ。


■使用方法と働きって?

 「XStat」は、軽量なポリカーボネートで作られた注射器型の器具で、その中には、圧縮されて錠剤のようになった1cm程度のスポンジが多数充填されている。使用する際は、注射器の先端部分を銃創に直接差し込み、ピストンを押し下げるだけでよい。注入されたスポンジは、(血液などの)水分を含むと泡のように広がり、穴が開いてしまった傷口を埋める。また、互いにしっかりとくっつき、破れた血管などの出血箇所を十分な圧力で塞いでくれる。この間、実に15秒であるというから驚きだ。


■開発の経緯

 開発に協力した、米陸軍特殊作戦部隊所属のジョン・スタインボー医師は、「私たちが当初思い描いていたものは、銃創にスプレーすると広がって、出血を止めるようなものでした」「しかし、傷付いた血管から流れ出る血液の圧力はかなり高く、スプレーした物質を流し落としてしまうことに気付いたのです」と明かす。

 そこでスタインボー医師を初めとする開発チームは、自動車の応急パンク修理キットに着想を得て、特殊なスポンジを用いて銃創を塞ぐ方法を考え出した。その後RevMedx社は、米陸軍より500万ドル(約5億円)に上る資金協力を得て、動物実験も重ねることにより「XStat」を完成させたのだった。ちなみに「XStat」のスポンジは、血液を受けることによって固まり、抗菌作用も備える「キトサン」という物質と、木材パルプを組み合わせて作られている。また、後に手術を受ける際に、体内にスポンジが取り残されることを避けるため、すべてのスポンジには、X線を受けると浮かび上がる文字が記されているようだ。


 現在、FDAによる認可を待つ段階にあるが、RevMedx社はすでに様々な傷口に対応すべく、3サイズの「XStat」を開発済みであるという。認可が下り、生産が開始された暁には1本100ドル程度で納入されることになるそうだ。スタインボー医師は、「私は中東において恐ろしい戦争を何度も経験してきました。ですから、兵士が撃たれた時、何が必要とされるかはよく分かります。この製品があったならば恩恵を受けていたであろう兵士たちを多く見てきましたが、その経験こそが私を『XStat』の開発へとかき立てたのです」と語っている。

 「戦争は技術革新の最大の動機となる」という言葉もいわれるが、この技術が応用され、戦場のみならず世界中の人々の生活の中で役立つようになる日が訪れてほしいものだ。何よりも「XStat」が必要のない世界となることが望ましいのだが......。
(スポンジ保父)

tocana

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