摘出後の肺を「呼吸させて」保存!? 移植まで「生かしておく」最新医療技術、OCS!

tocana / 2014年2月13日 16時30分

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 近年、わが国においても臓器移植手術のニュースを耳にすることは多くなってきた。しかし欧米諸国と比べると、臓器移植の実施件数はまだまだ極端に少なく、需要と供給のアンバランスも著しいという現状がある。そのような中、「臓器移植先進国」であるアメリカでは、それに関連した新しい技術も、次から次へと誕生しているようだ。

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 今月11日、「The Daily News」紙が、ドナーの体内から取り出された肺を、凍らせることなく保管・輸送し、患者へと移植することを可能にする医療機器を紹介している。「臓器管理システム(OCS)」と呼ばれるこの医療機器は、TransMedics社によって開発され、現在はカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の外科医たちによって臨床試験が繰り返されている段階であるという。


■OCSって何?

 ドナーの体内から取り出された肺を、患者に移植するまでの間、凍らせることなく保管・輸送するとは、一体どういう意味なのだろう。答えは実にシンプルだ。体内にあったときと同じような状態で肺を保管すればよい。そしてそれを可能にしたのが、OCSなのだ。

 OCSは、装着された肺に対して酸素を送り、さらに特別に調整された血液細胞を流し込んでくれる。そのためドナーから取り出された肺は、直ちに温かさを取り戻し、なんと呼吸を始めるという(次頁の動画を参照)。そして移植手術を待つ間、肺を「生かした」状態で管理することが可能となる。


■識者の見解は?

 この技術は、取り出された臓器を氷漬けにして保管していた従来の手法に取って代わる可能性があると指摘するのは、「ロナルド・レーガン UCLA メディカル・センター」の心肺移植プログラムを指揮する、Abbas Ardehali医師だ。彼は、「現在用いられている手法は、非常にデリケートな肺を保管・輸送するために最適なものとは言えない」「冷凍保存の方法では、肺が少なからずダメージを受けてしまい、ドナーの体内にあった時と同等の能力を取り戻せない。しかし肺を呼吸させて保管すれば、移植後に能力は復活するだろう」と指摘する。


 OCSで「呼吸したまま保管された肺」が初めて移植されたのは、2012年11月、肺繊維症を患っていた57歳の男性だった。手術の後は「大変気分がよく」「日に日に肺が強くなっていくことを実感できた」そうだ。現在もOCSは米国内での臨床試験段階にあるが、利用によって移植後の経過に著しい改善が見られるようになったという仮報告がなされている。TransMedic社は、すでに心臓をはじめとする他の臓器用OCSの開発にも着手しており、今後もさらに研究が続けられる計画だという。

 臓器移植後の経過が悪く、最終的に命を落としてしまう例も少なくないが、今後さらなる医療技術の進歩によって、ますます臓器移植が身近なものとなってゆくのか。日本の状況も含めて見守りたい。
(グリーン・M)

tocana

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