96%の精度で、アルツハイマー病の発症がわかる、新・検査方法とは? 高齢化社会に朗報

tocana / 2014年3月11日 17時30分

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 増え続ける認知症。厚生労働省の調査によるとアルツハイマー病は、日本では65歳以上の人のうち、462万人が発症しているといいます。

 その主要な原因の一つが、根本的な治療法がないということで、その発症のメカニズムもまだはっきりとはわかっていません。そんな中、血液検査によって数年以内にアルツハイマー病を発症するかどうかを、90%以上の精度で調べることができるという研究結果が、3月9日に科学雑誌「Nature Medicine」にて発表されました。

 ジョージタウン大学のハワード・フェデロフ博士らの研究グループは、525人の健康な70歳以上の人について5年間の調査を行い、その間にアルツハイマー病を発症したケースを調べました。この研究において、アルツハイマー病を発症した28人の血液サンプルを調べたところ、血液中にある10種の「脂質代謝物」の数値が低いことが判明しました。

「リン脂質」と呼ばれるこれらの物質は、細胞膜の主要な構成要素であるなど非常に重要なもので、その減少が脳神経細胞集団の衰弱をあらわしていると考えられました。そこで、その後の試験でその数値に着目したところ、96%の精度で2年から3年以内にアルツハイマー病を発症することが予想できるようになったということです。

 アルツハイマー病の可能性についての検査はこれまで、大がかりな装置を利用して体内を撮影する「ポジトロン断層法」、また、腰に針を刺して髄液を採取する、激痛を伴う方法しかありませんでした。それが安価で平易な血液検査で判明するというのは、画期的なことです。

 アルツハイマー病では、「タウ」や「アミロイドベータ」と呼ばれるタンパク質が脳内に蓄積することが確認されていますが、その原因についてはまだ全容が解明されてはいません。今回の研究では、代謝の面に着目し、発症から2、3年前の段階でその徴候をつかむことができました。さらに、脂質代謝物の数値の変化よりも、それをもたらす代謝の変化や遺伝子の変化が先に起こることから、もっと早くからその可能性を調べることができるのではないかと期待されています。

 もしそれが実現すれば、より早く治療を開始することができるため、病期の進行によってあまり効果が発揮できなかった今までの治療薬が、有用になることも考えられます。また、発症するまでに生活習慣を変えるという対応や、実際に発症した際の準備をすることができるでしょう。もちろん、治療・研究の進展にも大いに役立ちそうです。

 これからますます高齢化が進み、アルツハイマー病の患者も増えると見込まれます。近い将来に治療法が確立されればよいのですが、それまでに我々ができることといえば、発症の因子と考えられている生活習慣を変えることです。青魚や野菜などをよく食べる食生活や、適度な運動が予防に良いようなので、今日から...、いや明日から、または来週くらいから頑張ってみるのはいかがでしょうか。
(文=杉田彬)

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