嗅覚、おそろしい子...! 調べてみたらすごかった、人間の嗅ぎ分け能力とは?

tocana / 2014年4月1日 21時45分

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 「こいつはくせえッー!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーーーーッ!!」(『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社)) これは、マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』の有名なセリフで、人の本質をニオイで見抜いた例です。

 ニオイは食べ物の痛み具合を確かめるときにも使える手段ですが、こうしたそれ以外の判断にも役立っているのかもしれません。だとすると、嗅覚は視覚などの感覚より優れているのでしょうか。


■嗅覚情報>視覚情報だった!

 人間の視覚は光の三原色を感知することで「100万色以上」も見分けられ、さらに聴覚も「50万種」の音の高さを聞き分けられるといいます。それに対して嗅覚は、「1万種類」のにおいを嗅ぎ分けられると言われてきました。先の二つと比べてみると、明らかに低いです。

 ところが、科学雑誌「Science」に発表された論文によると、なんと人間は「1兆種類」のニオイを嗅ぎ分けられるそうなのです。1万から1兆、突然変わりすぎのような...。

 そもそもこれまで言われていた1万という数字は、1927年の「人間は4種類の基本的な香りを9段階に嗅ぎ分けられる」という研究結果から導き出されたものでした。(つまり9の4乗で6,651種類の嗅ぎ分けができるとのことで、さらにそれを千の桁で四捨五入して1万種類とされていたようです)この数字は今日までよく引用されていたのですが、実はきちんとした調査に基づいたものではなかったのです。

 そしてそのまま、視覚や聴覚に比べて手間のかかる嗅覚の調査はなかなか行われなかったのですが、この度、アメリカのロックフェラー大学の研究班によって調査が行われ、推計を出したところ驚きの1兆種類という結果が出たわけです。

■実験内容

 調査は26人の被験者に、128種類の香りから10種類から30種類を選んで混ぜて作った複合的なニオイを嗅いでもらい、それぞれを区別できるかを調べるというものでした。具体的には、3つビンのニオイを嗅いでもらい、1つだけニオイの違うビンがあるのを当てられるかどうか、ということを264回繰り返し行いました。

 その結果、それぞれが50%ほどの共通の香りを持っている複合的なニオイでも、大部分の被験者が違いを当てることができました。中には90%以上同じ香りを持つものでも違いを当てる強者もいたそうです。これらの結果から研究班は、人間は1兆種類のニオイを嗅ぎ分けることができると推計しました。

 1兆種類も嗅ぎ分けられるなんて凄い! と驚いてはいられません、これでも人間の嗅覚を正確に測れたとはいえないようです。というのも、世の中には数えきれない種類の香りの分子が存在しており、それが30どころではない数で組み合わさっているからです。巨大な数値が人間の潜在能力を表したかと思えば、まだまだ人間の嗅覚はその全容を現してはいませんでした、嗅覚、おそろしい子...!。

 ただ人間は、たくさんのニオイを嗅ぎ分けられても、それを言葉で表すのは苦手なようです。とある調査では、ピーナッツバターのような身近なにおいでも、半数ほどの人しか言い当てられなかったようです。これは嗅覚信号が脳の言語を司る部分を経由していないからだとも言われています。結局のところ「いい香り!」や「くっさ!」などの言葉に収束されてしまうのが悲しいですね。
(文=杉田彬)

参考「New Scientist」「TIME」ほか

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