もしも宇宙で病気になったら...? ロボットによる外科手術研究の今

tocana / 2014年4月19日 13時30分

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 無重力空間は、私たちの体にさまざまな影響を及ぼすことがわかっていますが、いざという時、もちろん近くに病院はありません。では、宇宙で外科手術を必要とするような急病を発した場合、どうしたらよいのでしょう。4月1日付けの「New Scientist」は、ロボットを使った外科手術の研究が進んでいると紹介しています。


■ロボットにおまかせ!?

 現在、宇宙ステーションには複数の宇宙飛行士が常駐していますが、緊急の場合は帰還用の宇宙船ソユーズに乗り込み、数時間で地球に戻れるそうです。しかし、将来的にあり得る火星の探査など長期間のミッションの場合は、おいそれと地球に帰るわけにはいきません。そのため、急病にも船内で対応する必要があります。

 しかし、外科手術を行うにしても、無重力での手術は困難を極めます。当然ながら器具を机に置くこともできませんし、血液は容易に周囲に発散してしまいます。そんな状況で効果的なのが、ロボットを使った腹腔鏡手術です。アメリカのネブラスカ州にある、バーチャル・インシジョン社というスタートアップ企業が、そのためのこぶし大のロボットを開発しています。

 二本のアームからなるそのロボットは、組織を掴み、焼き付けたり、縫合したりすることができます。先端にはカメラがついているため、おヘソを切り込んで体内に入り、虫垂炎や胃、結腸などの切除手術ができるそうです。さらにこのロボットは、地球にいる医師の遠隔操作にも対応できるというメリットがあります。今後数ヶ月、人工的に生み出した無重力環境において、細かい操作の実験をする予定です。


■今後の課題は?

 さて、宇宙で使用するロボットは重量に配慮しなければなりません。ロケットの打ち上げには莫大なエネルギーが必要となるため、搭載するものは1gでも軽くしようと試行錯誤されています。何10kgもあるような医療器具を宇宙へ持ち込むことは当然できませんが、その点、今回開発されているロボットは、約400gと非常に軽量なので問題ありません。

 その一方で課題もあります。地球から遠くなればなるほど、通信に遅延が生じるのです。火星との間では往復で30分以上の遅延となり、今のところ地球からの遠隔操作による手術は不可能です。現状、それに対する解決策は、「飛行士たちが互いにロボットを使えるようにする」という非常にシンプルなもののようです。やはり宇宙飛行士には高い能力が求められますね。

 資源とエネルギーの枯渇が懸念される今後、それらを求めて宇宙を探索することがあるかもしれません。そのような中、宇宙で使うことを目的としたこのロボットは、地上でも有効活用できそうですね。宇宙開発の技術によって生まれた製品は多々ありますが、今回の技術も、地上の遠隔医療での応用が期待できるかもしれません。
(文=杉田彬)

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