病的な不安を掻きたてる「情報監視システム」 ― 暴露したスノーデンは英雄か、ただのナルシストか?

tocana / 2014年6月2日 10時30分

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  スノーデンとは何者なのか?

 オシャレにはとても見えないメガネに、ヤギのようなヒゲ、気の弱そうな下がり眉......エドワード・スノーデンの風貌は、いかにもギーク(geek)らしく見える。彼が秋葉原を歩いていたら、日本のアニメが好きな外国籍のITエンジニアにしか見えないだろう。このどこにでもいそうなアメリカ人の青年が2013年に巻き起こした大騒ぎは記憶に新しい。

 ハッキングとコンピューター・セキュリティの専門家として勤務していた国家安全保障局(NSA)から、情報監視やネットワーク盗聴のプロジェクトに関する文書を持ち出し暴露した彼の行為は、英雄的とも讃えられる一方で、アメリカ政府からは世紀の大犯罪者として批難された。

 現在、連邦捜査局(FBI)の指名手配から逃れるためにロシアに身を寄せている彼が、なぜ、自ら危険をおかしてまで機密情報の暴露をするにいたったのか。24カ国で同時刊行された『暴露: スノーデンが私に託したファイル』(新潮社)で、その経緯が明らかにされている。著者、グレン・グリーンウォルドはスノーデンから情報提供を受けて、初めに暴露記事を書いたジャーナリストだ。香港のホテルの一室で、著者に対してスノーデンはこれまでの経歴及び「暴露」に至った理由を語っている。


■本当にギークだった、スノーデン

 彼は見た目通りのオタクであり、高校時代にインターネットにのめり込んでしまい、学校はドロップアウトしている。ギークやオタクというと、どこか反社会的なイメージがまとわりつくかもしれない。しかし、彼が当初から「反国家的」な思想の持ち主だったわけではなかった。むしろ、イラク戦争時に自ら志願して軍へと入隊したことを考えれば、元々は愛国的な青年だった、と言えるだろう(言うなれば、典型的なネトウヨだったかもしれない)。しかし、実際に戦地に赴く前に訓練中の事故によって彼は大けがを負い、除隊を余儀なくされてしまう。

 高校中退、そして、イラク戦争へ参加できなかった挫折は、NSAの機関でセキュリティやハッキングの技術を学ぶモチベーションに結びついているかもしれない。彼にはこの分野に天賦の才があった。コンピューターによって、彼は初めて母国に貢献する大きなチャンスを与えられたのだ。しかし、CIAやNSAといった機関に所属し、世界中で働くうちに彼はそのダーティーな仕事に嫌悪感を覚えていく。善だと信じていた国家に対する幻滅が、彼の胸中に別の正義感を育み、それが今回の内部告発に繋がったのである。

tocana

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