東宝特撮史の黒歴史 ― ゴジラの影に隠れた「幻の東宝怪獣映画」

tocana / 2014年7月31日 19時0分

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――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・天野ミチヒロが、ツッコミどころ満載の封印映画をメッタ斬り!

【映画 『獣人雪男』】

 7月25日、ハリウッド版映画『GODZILLA ゴジラ』が公開された。これに合わせ、ここ数カ月に渡って各テレビ局や各県劇場で1954年の『ゴジラ』初回作が公開され、改めて高い評価を受けている。

 この『ゴジラ』の成功により、モスラ・キングギドラ・ヘドラ・メカゴジラなどのスター怪獣が輩出されていくわけだが、そんな輝かしい東宝怪獣映画史の中で、1本だけソフト化されていない作品がある。それは『ゴジラ』『ゴジラの逆襲』らに続いて製作された第3弾『獣人雪男』だ。脚本と撮影スタッフは『ゴジラ』とほぼ同じ陣容で、主演の宝田明、ヒロインの河内桃子まで一緒という手堅い作りだった。


■『獣人雪男』あらすじ

・人と共生する雪男

 日本アルプスで遭難者を捜す山岳部の大学生・飯島(宝田明)は、雪男で一発当てようと企む興行師一行とトラブルを起こし、崖から落下する。失神している飯島は、集落の娘・チカ(根岸明美)によって発見され、彼女の自宅に運び込まれる。彼女の集落では、片目・せむし・皮膚病など、多くの村人が何らかの疾患を抱えて暮らしていた。また集落では雪男を神と敬い、食べ物をお供えするなどし、共生していた。だが、隠れ里の掟として、よそ者を受け入れられない村人達は、飯島を断崖に宙吊りにしてしまう。そして、チカがよそ者に対し恋心を抱いたと感じ取った集落の長老は、「ビシッ、バシッ」と彼女を棒で叩いて折檻する。若い娘をいたぶる長老の表情が実にドSで、マニア泣かせな好シーンだ。


・子を殺され、狂う獣人雪男

 終盤は怒涛の展開で、興業師達が子獣人を撃ち殺してしまい、これに逆上した雪男は彼らを皆殺しにし、その勢いのまま集落で大暴れして集落までも全滅させてしまう。さらに雪男はキャンプ地から飯島の恋人(河内桃子)を拉致し、棲家の洞窟へと連れ込む。険しい山岳地帯にも関わらず和服生地の短パンでナマ足出しているチカは、「アンタのためにやってみる!」と、好いた男の恋人を救いに(なんと健気な)、ナイフを振りかざし雪男に斬りかかり、共に泡立つ熱泉へと没していく......。


■作品のウラに隠されたとある"疑惑"!?

 検討用台本には、本編終盤でNGとなった性的な意味合いを含んだ記述が散見する。怪物が女性をさらうのは古今東西モンスター映画のお約束だ。子を失った雪男にも「種の保存」という本能から人間のメスをさらう必要があった。ラストに雪男の前に立ちはだかるチカは、台本では「裸身」と記されている。だが、さすがに子供も見る怪獣映画だけに、この辺はオミットされたのかもしれない。

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