クレプトマニア ― 万引き依存症で執行猶予中の被告、再犯でまた執行猶予のナゼ

tocana / 2014年8月7日 16時0分

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 執行猶予中に同じ犯行を行い、再度執行猶予判決を勝ち取るという、幾分珍しい判決がくだされた。これは、神戸地裁で言い渡された判決だ。

 被告の女性は、以前万引きで逮捕され執行猶予の判決を受けていた。今回も前回同様、万引きで起訴されてしまった。通例であるならば、そのまま実刑を受けそうなものだが、彼女はにくだされた判決は、またもや執行猶予だった。

 なぜ、このような判決がくだされたのか。刑事事件に詳しいライター、ごとうさときが今回の一見不可解に見える判決を解説する。


■"執行猶予"の意味

 今回の判決では、執行猶予が重要となる。刑事裁判で下される判決は、「無罪」か「有罪」のどちらかだ。有罪の場合は、

・即刑罰が執行される実刑判決

・一定期間、刑の執行が猶予される執行猶予判決

 のふたつの処遇がある。

 実刑判決が下されると、その刑が罰金刑ではない禁固刑や懲役刑だった場合、被告人の身柄は法廷内ですぐに拘束されてしまう。もともと拘置所から出廷していた被告人は、そのまま来た時と同じ様に拘置所に戻るだけだが、ヘタに保釈金を納めて、外に戻っていた被告人は、そのまま身柄が拘束されてしまう。

 それに対し、執行猶予判決が出た場合は、一応裁判所の法廷の中で開放される。すでに保釈金を納めて、留置場から出ている人は、来た時と同じくそのまま帰宅も可能。また不幸にも保釈が認められず、拘置所から法廷に通っていた被告人も、執行猶予判決が下った瞬間から、手錠&腰縄の拘束はされなくなり、拘置所に私物が置いてなければ、そのまま自由の身になる。

「自由の身になるって? それじゃ、執行猶予って無罪と同じじゃん」

 と考えてはいけない。執行猶予は無罪とは全く違うのだ。執行猶予の期間中に禁錮以上の刑罰にあたる犯罪を行うと、その犯罪で下される刑罰プラス、執行を猶予されていた刑罰が執行されてしまうのである。禁錮以上、というと解りにくいが、最悪のケースを想定すると、交通違反で赤キップを切られただけでも、執行猶予が取り消される可能性がある。


■意外に多い!? 執行猶予中に再犯を犯す懲りない人々

 執行猶予期間中の"元"被告人は、非常にナーバスになり、外出すら怖くなって引きこもりになるケースもある。だが、執行猶予期間中に犯罪を繰り返す人間は珍しくない。
 
 執行猶予中に繰り返される犯罪として、多いのは2種類だ。ひとつはつい最近も大物芸能人が逮捕されて話題になった「薬物関連」の犯罪。薬物は一度癖になってしまうと、理性を超えて本能が欲すると言われている。再犯した場合は、長期間刑務所に入るという事が十分わかっていても、つい手を出す人が少なくない。

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