「絶対に羽生選手を滑らせてはいけなかった」フィジカルトレーナーが批判!

tocana / 2014年11月12日 9時30分

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 負傷しながらも演技を続行した羽生結弦の姿に感動の声が挙がっている。

 先日、上海で行われたフィギュアスケートGPシリーズ第3戦の演技前の練習中、羽生はエン・カンと正面衝突。頭と顎から流血し、リンクに仰向けに倒れこむ。その後、しばらくして立ち上がったものの、足元はフラフラ。誰もが棄権するかと思ったが、止血し、そのまま演技をした。結果、2位になったことで感動エピソードとなったが、羽生もかなりの覚悟をしていたと『グッド!モーニング』(テレビ朝日)にて明かしている。

「(棄権も)考えました。6分間(練習が)終わった後に『こんなんで終わるんだ』と思って。『このまま僕、スケート終わるのか』と思いながら天井を見てたんですけど」

 つまり、棄権は考えたものの、もしかすると怪我の影響で最後の競技になるかもしれないと思うと、滑りたいという気持ちを抑えられなかったようだ。

 これについて、とあるフィジカルトレーナーに聞いたところ「これが選手心理だ」と語ってくれた。

「選手はどんな状態でも出たいんです。というよりも、どんな状態でも出たいという負けん気の強い奴が上に残る。それは、怪我を言い訳にしないという姿勢なんです」

 たとえば、近年、Jリーガーに大学サッカー上がりの選手が多いのは、雑草選手が多いからだという。

「ユース育ちで、エリートコースになった選手は、悪い環境を知らない。足が痛ければ、誰かが治療してくれる。いつの間にか、ちょっとくらいの痛みでも言い訳にするようになる。けれど、大学サッカーという回り道をした選手は、痛いなんて言っても誰も助けてくれない環境ですから、そのメンタルの差は大きい。もっとも、それは世界と日本の差でもあるんですけど」

 羽生も同じように、「これくらいの怪我で負けてたまるか」という気持ちがあったのかもしれない。だからこそ、「コーチが止めなければいけない」と先述のフィジカルコーチは語気を強める。

「すごい矛盾なんですけど、選手には『こんな怪我なんともない。出る』というメンタルがほしいんですけど、僕ら(選手をサポートする側)は、それに乗っかっちゃダメなんです。怪我の程度を判断し、ストップをかけるのも我々の仕事です。今回の件でいえば、後々のことを考えたら、絶対に滑らせてはいけなかった。それは、高校野球や高校サッカーで怪我を抱えて出る選手も同じです。軽い打ち身や移動疲れで試合に出るのと、骨折で試合に出るのは、話がまったく違うのです」

 フィジカルトレーナーが指摘したように、今回の羽生の件は、近年、問題視されるようになった甲子園や高校サッカーなどでの高校生の体の酷使と同様の背景がある。"辛い中で頑張った"というエピソードが好きな日本人たち。にもかかわらず、今回は問題提起されているというのは、一歩、日本のスポーツが前進したといえるのではないだろうか。
(TV Journal編集部)

※イメージ画像:『羽生結弦「覚醒の時」』ポニーキャニオン

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