選挙結果に不満で、最高裁判所に呪いをかける男=インドネシア

tocana / 2014年11月22日 11時0分

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 10月にインドネシア大統領に就任したジョコ・ウィドド氏は、実は選挙戦では大変な苦戦を強いられた。

 ジョコ氏は貧困層出身の革新的政治家として知られているが、それと同時にインドネシアでは旧来の軍人出身の政治家を求める傾向がまだ強い。大統領選挙でジョコ氏に対抗したプラボウォ・スビアント氏は、かつて陸軍戦略予備軍の司令官だった人物。農村部を中心に支持を広げ、大統領選ではジョコ氏に6ポイント差まで迫った。

 選挙に敗れてからも、その支持を背景に選挙結果の不服を最高裁判所に訴え、最後の最後までその影響力をジョコ氏に見せつけた。

 そしてプラボウォ氏は最高裁への提訴の際、何と呪術師の力を借りて選挙結果を覆そうとしていたのだ。

【その他の画像はこちらから→http://tocana.jp/2014/11/post_5239.html】


■謎の呪術師現る

 プラボウォ陣営が選挙結果の不服を最高裁に提訴したのと同時に、西ジャワ州出身のエヤン・スルヨ・ブウォノという男性が裁判所前に陣を張った。

 エヤン氏はそこで、プラボウォ陣営の逆転勝利を実現させるための儀式を始めたのだ。

「この選挙結果には明らかな不正がある。プラボウォ氏は正直な人物だ。そんな彼を裏切ったことで、国民は悲しみに暮れている」

 マスコミにそう語ったエヤン氏は、西ジャワ州に伝わる「クジャン」という短剣を用いて最高裁判所に呪術をかけたのだ。投票結果を覆さないと、裁判所関係者に祟りが下る......という意味である。

「選挙結果は嘘だ。この国に嘘つきはいらない。そして最高裁は、私の呪術を無視してはいけない」

 力説するエヤン氏。彼は一貫して「プラボウォ陣営が正しい。ジョコ陣営が不正をしている」と訴えた。

 それは本当だろうか?


■国際的に評判の悪いプラボウォ氏

 プラボウォ・スビアント氏はインドネシアを一歩出れば、「東ティモールで住民を虐殺した軍人」として有名である。かつてはスハルト元大統領の娘婿として、開発独裁時代の権力者の一人に数えられていた。東ティモールでの内紛の際には現地住民を拷問にかける、裁判なく処刑する等の蛮行が広く知れ渡り、アメリカ政府が彼に対する入国禁止措置を実行したほどだ。

 そして今回の選挙では、先祖代々ジャワ地方のイスラム教徒であるジョコ氏に対して「彼は中国系のクリスチャンだ」というブラックプロパガンダを流布させ、息のかかったテレビ局に自身の優勢を伝える選挙速報を放映させる等々、クリーンとは言えない手腕を発揮した。

 しかもエヤン氏の呪術は未だ効力を発揮していないらしく、その後ジョコ氏は何事もなく大統領に就任した。もしかしたらジョコ氏の背後霊(参照 http://tocana.jp/2014/10/post_5084.html)が、エヤン氏の呪術に打ち勝ったのかもしれないが......。
(文=澤田真一)

※画像は、クジャン(「Wikipedia」より)

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