2014年木村伊兵衛賞、最有力候補者!? 写真家・石川竜一写真展「絶景のポリフォニー」が素晴らしすぎる!

tocana / 2014年12月13日 12時0分

写真

 2014年末、日本の写真界界隈をにわかに騒がせている新人フォトグラファーがいる。石川竜一、30歳、沖縄県出身。「今年の木村伊兵衛賞の最有力」と業界関係者を唸らせる彼の写真展が、12月3日から東京・銀座で開催されている。

【写真多数→http://tocana.jp/2014/12/post_5370.html】

■挫折と失意の日々から開けた写真家への道

「絶景のポリフォニー」は石川がこれまでに撮りためた沖縄の風景や人、事物のスナップ写真で構成されている。中判デジタルカメラで切り取られたイメージはどれもヘビー。熟れて腐りかけた南国の果実のように濃厚で異臭を放ち、鮮烈だ。

 石川が写真を始めたのは20歳の頃。10代半ばから続けていたボクシングに挫折したことがきっかけだった。生きるための確固たる足場を失ったことで陥った自暴自棄な日々、そこからくる鬱状態を経て、石川は偶然、壊れて写らなくなったカメラを手に入れる。この"写らないカメラ"こそが、進むべき道を見失いやさぐれきっていた1人の青年を、写真家・石川竜一へと変容させるターニングポイント。いわば、クロスロードで「写真の悪魔」に魂を売り渡した瞬間だった。

 そして20代も半ばを過ぎた頃、故あって手元に転がり込んできた百数十万円のまとまった金で手にしたハッセルブラッドのデジタルシステムを使って切り取られたイメージの一群が、現在銀座のニコンサロンで開催中の写真展「絶景のポリフォニー」なのだ。


■政治的な主張なんてない、ただそこにあるものを写すだけ

 石川の写真が写し出しているものは、彼が生まれ育った沖縄だ。しかし、石川が切り取るイメージは、一言で言えば「その時、そこにあるもの」だ。被写体にせよイメージそのものにせよ、それぞれは強烈だ。だが、そこには政治的な主張も社会的なメッセージもない。

 沖縄という言葉や土地そのものが表すイメージは、受け取る人によって大きく異なる。青い空に海、南海の楽園のような島を思い浮かべる人はいるだろう。艦砲射撃と火炎放射器で跡形なく荒廃した焼け野原や集団自決の悲劇を思い起こす人もいるはずだ。その幅には文字通り、天国と地獄ほどの開きがある。

 壊れかけた小屋も、ケバケバしいメイクのドラアグクイーンも、吐瀉物にたかるゴキブリの群れも、少女の白い肌に刻まれた不恰好な「Love」の文字も、何もかもがその時、石川の心を震わせた目の前の事物であったというだけで、結果として今の沖縄が写っているのに過ぎない。重い砲弾のような、ただただ強力なイメージ。もし、そこから沖縄がはらむ問題のようなものが読み取れたとするならば、それは見る側が持つ沖縄のイメージ、コンテクストに石川の写真を当てはめた結果、図らずも"読めてしまった"だけなんじゃないか。

tocana

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