【人体の不思議】46年間妊娠し続けた女と、隠れた赤ん坊

tocana / 2015年1月7日 17時0分

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 2006年、あるドキュメンタリー番組で驚くべき2人の妊婦の存在が世に知られることになった――。モロッコ在住の女性とイギリス人女性のそれぞれの身に起こった驚愕のストーリーである。


■生まれぬベビー

 1955年、モロッコのカサブランカ郊外にある小さな村にて、初めての出産を控えていたザーラ・アブタリブさんの陣痛が始まった。48時間経っても赤ちゃんは生まれず、ザーラさんは病院へ担ぎ込まれた。

 運ばれた救急病院の中で陣痛に耐えながらザーラさんが目にしたのは、若い女性が手術台の上で激痛に悶え、苦しみながら命を落とす姿だった。彼女はパニックに陥り、目の前で亡くなった女性と同じように自分も苦しみながら死んでいくのだと固く信じ、思わず病院から逃げ出してしまった。

 その後も耐え難い痛みが数日続いたが、それは突然止まってしまう。ザーラさんはお腹の子が地元に伝わる神話にある「眠れる赤ちゃん」なのだと信じ、妊娠した事を忘れるよう心がけ「いつかきっと生まれてくる」と待っていたのだそうだ。この後、前代未聞の事態は起きるとは思いもよらずに......。


■75歳になった時...

 数十年後、ザーラさんは3人の養子を育て祖母になっていたが、75歳になった彼女の身体を激しい痛みが襲ったのだった。数人の医師がザーラさんを診察したが誰一人としてその原因を説明出来なかった。しかしその中で唯一人ザーラさんの腹部の膨らみに気づいたタイビ・ウァザニ医師は卵巣の腫瘍の疑いを指摘し、X線の検査を勧めた。

 医師のアドバイスに従いX線検査を受けた結果、ザーラさんの腹部にあった謎の塊は生まれることなく石灰化した胎児だということが分かったのである。しかもこの胎児は母親の子宮の外で大きくなり、ザーラさんの腹部の壁に貼りついたまま、内臓と結合していたというのだから驚きだ。

 そしてさらに驚くのは、母親の体内で死んでしまった胎児から感染症などを発症しないために、身体の免疫機構は胎児の体を硬い石灰物質で何層にも覆っていたのである。これらの事により、胎児を摘出する手術は細心の注意を要するものであったことは言うまでもないだろう。

 ザーラさんのケースは、2006年の時点で報告されている約300例のうちの1例であり、一番古い記録が残っているものでは1582年、フランスで68歳の女性が28年間お腹に胎児を宿していた事が分かったケースがある。最近では2009年3月に中国南部に住む92歳の女性から60年間胎内にいた胎児を取り出したケースなど、世界中で報告が相次いでいる。

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