「ただそれだけのこと」テロ行為を爽やかに語る若者 ― 元・封印映画『日本暗殺秘録』が問うたもの

TOCANA / 2015年2月1日 8時0分

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 ますます世界中を震撼させるイスラム過激派によるテロ。2015年1月7日、フランスの出版社襲撃事件。そして1月20日ついに日本人が人質に取られた。いかなる思想に基づくものであっても、人命を奪うテロリズムを肯定することはできない。だが、かつて「日本の若者の歴史を、血で描いて敢えて問う――暗殺は、是か!? 非か!?」というキャッチコピーを伴った『日本暗殺秘録』なる作品が公開された。

 作品は学生運動の隆盛期に製作され、「アナーキズムやテロリズムを礼賛する」といった過激な内容ゆえ、クランクインの際に自民党・保利茂幹事長から東映社長に撮影中止要請があった。また公開後は、作品の影響で右翼になる若者が急増したと言われている。オールスターキャストの大作にも関わらず、長期に渡り「ソフト化不可能」(理由は未公表)と映画ファンの間で噂されてきた問題作だ。

 監督は「実録ヤクザ路線」の中島貞夫、脚本は「仁義なき戦いシリーズ」の笠原和夫と任侠映画の巨匠コンビ。1860年3月3日に発生した「桜田門外の変」から1936年2月26日の「二・二六事件」まで、幕末から昭和にかけての9大テロ事件を時系列で再現した。わかりやすいように、各事件の配役を列記してみよう。

・桜田門外の変(1860年)......大老・井伊直弼を斬首した有村次左衛門に若山富三郎。
・紀尾井坂の変(1878年)......大久保利通を斬殺した石川県士族・島田一郎に唐十郎。
・大隈重信遭難事件(1889年)......大隈重信に爆弾を投げつけた玄洋社社員・来島恒喜に吉田輝雄。
・星亨暗殺事件(1901年)......心形刀流師範・伊庭想太郎、東京市会参事・星亨を斬殺。
・安田善次郎暗殺事件(1921年)......安田財閥の創始者・安田善次郎を刺殺した神州義団主幹・朝日平吾に菅原文太。
・ギロチン社・小坂事件(1923年)......摂政官暗殺を企てるため資金調達で強盗殺人を行ったギロチン社社員・古田大次郎に高橋長英。
・血盟団事件(1932年)......前大蔵大臣・井上準之助を銃殺した血盟団団員・小沼正に千葉真一。血盟団の指導者・井上日召に片岡千恵蔵、ヒロインに藤純子。
・相沢事件(1935年)......陸軍省軍務局長・永田鉄山少将を斬殺した陸軍中佐・相沢三郎に高倉健。
・二・二六事件(1936年)......元主計大尉・磯部浅一に鶴田浩二。ちなみに『シベリア超特急』で水野晴郎が演じた山下奉文に名悪役の神田隆。

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