バーチャルリアリティはここまで進化した!! 体外離脱を疑似体験する「SR(代替現実)システム」とは!?

TOCANA / 2015年8月28日 9時30分

「握手しましょう」

 握手した。そうしたら、目の前から藤井氏が消えた。あれ?

「女子高生が見学に来ています。中に入ります」

 キャーキャーと賑やかに女子高生が部屋に入ってくる。

 これはウソだろう、ウソだよね? いなかったよね?

「ちょっと怖い映像出しますね」

 怖い映像? いきなり部屋の中にゾンビが現れた。どんどん近づいてくる。お化け屋敷かよ。ゾンビが私の肩に手をかけ......ドン! 誰かが肩をつかんだ。思わず悲鳴をあげそうになった。

「握手しましょう」

 スタッフが手を伸ばす。だまされるものかと思う。どうせ誰もいないと思って手を伸ばしたら、握り返された。これは本物なのか。

 こうなると、モニターで見えているのが現実なのか何のか、まったくわからない。

 そして突然、画面が切り替わった。私だ。ヘルメットをかぶり、椅子に座った私を私が見ている。体外離脱の疑似体験である。自分の姿を自分が見ている!

 カメラが近づき、私が私に近づく。あの異様な感覚をどう伝えたらいいだろう。私はどこにいるかわからなくなったのだ。カメラ側に自分がいるとか、そういう具体的な感覚ではなく、すっぽんと自分の場所の感覚が抜け落ちてしまった。

 自分はどこだ?

 体外離脱の時に目にするであろう風景を見た私の体は、反射的に体外離脱を起こしてしまったのだ。

 あとで同行した編集担当者に、「ずっと腕をさすっていましたよね」と言われたが、それはどこか触っていないと自分が本当にこの場所にいるのか、わからなかったからだ。

 ヘルメットを外してから、最初の藤井氏の映像が2年前のものであり、最初から全部がバーチャルだったと教えられた。現実は恐ろしく危うい。理化学研究所を出てもしばらく、目の前の風景が書き割りのように見えて落ち着かなかった。人間は実に容易に現実を突き崩される。

 脳がこれほどにぜい弱であやふやである以上、臨死体験のような超常現象的な体験も十分に起こり得るだろう。

 臨死体験が死後の世界の入り口かどうかはわからないが、体外離脱を始めとする臨死体験は脳の中で起こり得る。むしろ臨死体験の事例を世界中から収集して解析しているジェフリー・ロングの挙げた12項目の共通性が何を意味するのか、なぜ共通の体験が脳にプログラムされているのか、そこが科学の切り込むべきフィールドだろう。それはもしかしたら、死に際してやっと人間が気づく、本当の世界の見方なのかもしれないではないか。

(取材・文=川口友万/サイエンスライター)

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