圧倒的スケール! 村上隆の五百羅漢図を見ると「妙に元気が出る」のはナゼ? 五百羅漢寺で探ってきた

TOCANA / 2015年12月23日 14時0分

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 この圧倒的なスケール感。気の遠くなるようなディティール。ビビッドな色彩になめらかな質感。どこまでも平面的な画面と、今にも飛び出してきそうな強烈なキャラクターの人物たち。どう見ても極端なものどうしが奇跡的に結合し、見たこともないような世界が私たちの前に現れる。1990年代、「スーパーフラット」を引っ提げて日本美術界に登場し、2000年代には世界のアートシーンを席巻した村上隆が、再び帰ってきた。

 現在、東京六本木の森美術館で開催中の「村上隆の五百羅漢図展」は、美術ファンならずとも必見の展覧会だろう。日本では14年振りの大規模な個展となった本展には、かなりの点数の新作が出展されており、村上の並々ならぬ気迫を感じる。が、やはり何と言っても目玉は、東日本大震災がきっかけになって制作された《五百羅漢図》である。

 全長100メートルにもなる巨大絵画《五百羅漢図》は、「青竜」「白虎」「朱雀」「玄武」の4つのパートから構成されている。絵画のモチーフは「五百羅漢」と呼ばれる釈迦の弟子たち。絵画のスケールもさることながら、すごいのはその描き方だ。作品の写真を見れば分かるように、一人ひとりの人物(羅漢)が実にユーモラスに、そして個性たっぷりと描き出されている。たとえば、画面の端で頬杖をついているのは、「注荼半吒迦」(チュダハンタカ)という名の羅漢。物覚えは悪いが、毎日掃除ばかりしている内に悟りを開いた僧なのだが、しかし何と言うか……、まるでマンガに出てきそうなキャラではないか!

【その他の写真はコチラ→http://tocana.jp/2015/12/post_8330.html】

 そして、次は《五百羅漢図》[青竜]の一部分。

 まっすぐに立ち、両手で自分の腹を大きく開いて見せているのは、「羅睺羅」(らごら)という釈迦の息子である。人は誰でも仏性を持っていることを示す図柄だそうだが、いくらアートとはいえ、仏教の聖人をここまでコミカルに描いてよいものだろうかという疑問も沸かなくもない。あまりにも現代風に解釈し過ぎている感じがする。しかし、この問いに対する答えを先回りして言えば、むしろこうした描き方こそが、「らかんさん」の伝統に則っていると言えるのだ。


■五百羅漢とはそもそも一体何?

 平安時代をルーツとする「五百羅漢信仰」が最盛期を迎えたのは江戸時代のことである。ただし、信仰の担い手となったのは、公家や武士といった上流階級ではなく、町民など一般庶民であった。人々が「らかんさん」と呼んで親しんだのは、当時、本所五ツ目(現在の江東区大島)にあった500体あまりの羅漢の木像であった。

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