人体標本、食人鬼のミイラ… タイの死体博物館「シリラート」に直撃レポート

TOCANA / 2017年1月11日 9時0分

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 タイのB級観光スポットの最高峰ともいえるのが、チャオプラヤ河沿いにある「シリラート医学博物館」。通称、死体博物館だ。昨今は本物の人体を使った標本はプラスティネーションといって、身体の水分と樹脂を入れ替えて製作されたものが増えた。実際に手に取ることができ、樹脂の種類を変えることで本物と同じような質感を得られるからだ。しかし、ここタイの死体博物館の標本はというと……。


■古い建物の中、誰もいない展示室で死体に囲まれる

 シリラート病院というとなんとなく聞いたことがあるという人もいるかもしれない。ここは2016年10月にタイの前国王が崩御された病院で、現在、タイ最高峰の総合病院である。中には大学医学部の研究所や看護学校などもあり、敷地内はまるでひとつの町のように大きい。

 そんな中で異彩を放っているのが「シリラート医学博物館」。いくつかの展示場の総称で、マニアックなのは法医学博物館と解剖学博物館だ。日本人にはすでに有名で、病院内の博物館への案内板は日本語を併記している。

 法医学博物館は蝋漬けにされた昔の犯罪者「シーウィー」がよく知られる。シーウィーは中華系タイ人で、複数の子どもを殺害して食べていたとされる男だ。ほかには事件・事故で損傷した身体の部位が展示されている。2004年のタイ南部のプーケットを襲った津波の様子も写真や展示物などで紹介されていた。

 マニアックさでいえば解剖学博物館がお勧めだ。法医学博物館とは別の建物、医学生の解剖実習室などがある棟にある。古い建物で、3階の展示場に行くまでがすでに恐い。そして、階段上で細く縦に切られた人体標本が我々を迎えてくれる。展示場には無数のホルマリン漬けの死体や臓器がところ狭ましと並べられていた。

 30代以上の日本人なら記憶に残っているだろうベトナム戦争の枯れ葉剤の犠牲者ベトちゃんドクちゃん。彼らは「結合双生児」で、かつてはシャム双生児とも呼ばれた。このシャムはタイの旧名「サイアム」の訛りで、この解剖学博物館にもたくさんのシャム双生児の標本があった。

 解剖学博物館は先にも書いたように、随分と古い建物の上にある。法医学の方はエアコンも効いており管理された博物館といった風情だが、解剖学の方はあくまで学生用の展示場といった感じ。しかも、来客はほとんどないので、いつ行っても誰もいない。たったひとりでたくさんの死体に囲まれていると、さすがに背筋がヒンヤリとしてくる。そういう意味では天然のエアコンが効いているといっても過言ではない。

 タイでは医学の発展のために献体を望む人もおり、死後はアージャーン、つまり「大先生」といった称号で尊敬される。シーウィーなどの犯罪者の標本は別だが、B級スポットとはいってもここに展示された人体標本も医学発展のために献体された尊い命であるとタイ人は敬っている。
(写真・文=高田胤臣)

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